「父が見放すほど劣等生」スピーチの天才"チャーチル"実は演説が苦手な過去

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ある日、おもちゃの兵隊遊びに興じるチャーチルを見て、父が「軍人になりたいか」と聞くと、チャーチルはこう答えた。

「はい、軍人になりたいです」

そんな父とのやりとりをきっかけに、チャーチルは陸軍士官学校へと進むこととなった。これが、チャーチルの第2の人生の始まりとなる。

『ローマ帝国衰亡史』をむさぼるように読んだ

陸軍士官学校の校風がよほど自分に合ったのか、士官学校では、厳しい訓練すらも楽しんで、勉強にも身が入ったようだ。チャーチルは150人中8番という優秀な成績で卒業する。

だが、任官する直前に父が他界。すると、チャーチルは軍人ではなく、父のような政治家になるべく国政に打って出なければ、という思いを強くする。

1897年には、軽騎兵第4連隊とともにインドへと渡った。戦闘に向かう前夜、母への手紙で、こう書いている。

「青年期に英国の部隊と共に戦闘に参加することが私に政治家としての重みを与える、すなわち、人々が私の言うことに耳を傾け、国内での人気を高めることになると感じているのです。この手紙が着く頃には、戦闘は終わっているでしょうから、率直に書きますが、私は、この世で何らかのことを成し遂げるという運命を信じているのです」

軍人での経験を生かして、政治家になると宣言している。亡き父の遺志を継ぐという使命感は、チャーチルの学習欲も駆り立てたようだ。この時期のことをのちにチャーチルは、こう書き記した。

「22歳にして初めて向学心なるものが芽生えた」

チャーチルは、英国の実家から郵船で歴史・哲学・経済などの書物を送ってもらい読書に励んだ。最初に読んだのが歴史家エドワード・ギボンの『ローマ帝国衰亡史』である。

チャーチルの父もこの本を愛読し、覚えた内容を演説や文章に生かしていたという。

チャーチルは読み始めて、すぐにこの本に夢中になっている。

「私はたちまち、その物語と文章に参ってしまった。インドの光線の強い長い昼間を、朝厩舎を出て、夕陽の影がポロの時間を知らせるまで、私はギボンを耽読した。私は本の端から端まで意気揚々として駆けめぐり、実に喜びにたえなかった」

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