【検証】中東混乱、日本の石油備蓄は十分なのか? 7つの疑問にわかりやすく回答
なぜ日本は備蓄量が多いのか?
日本は原油供給の多くを海外に頼っているだけでなく、輸入先は地政学的リスクの高い中東に大きく偏っていることが主因だ。経済産業省の統計によると25年の原油輸入の中東依存度は94%だった
さらに中東からのタンカーはホルムズ海峡や、海賊襲撃のリスクがあるマラッカ海峡といった海上交通の要衝を通る。直接的な海峡の封鎖だけでなく、海峡周辺でタンカーが攻撃されるリスクが高まると保険の引き受けが停止されたり、海運会社がタンカーの運航を見合わせたりすると、日本への原油供給は一気に滞る。まさに足元でそういったことが起きている状況だ。
日本はいつから備蓄に取り組んでいるのか?
起点は1970年代にさかのぼる。1972年に行政指導に基づく備蓄を開始。さらに、73年に第四次中東戦争をきっかけとした第一次オイルショックが発生したことを受け、翌年に備蓄の増強に向けて動き始めた。同年には石油の消費国が連携して危機対応に取り組む枠組みとしてIEAも設立されている。
75年12月に石油備蓄法を制定し、石油の精製や販売、輸入を手掛ける企業に対し90日分の備蓄を義務化した。また、欧米と比べて輸入依存度が高いために90日を超える備蓄が必要との考え方から、78年には石油公団(現JOGMEC)による国家備蓄も始まった。
国家備蓄基地が全国に10カ所建設され、十分な国家備蓄が維持できるようなったことから、民間備蓄は89年度以降毎年度4日分軽減されることとなり、93年度には民間の備蓄義務量は70日分まで減少した。産油国による共同備蓄はアブダビ国営石油会社を皮切りに2009年から段階的に行われている。
過去の放出事例は?
過去に国家備蓄の放出が実施されたのは22年の1回だけだ。ロシアのウクライナ侵攻を契機にエネルギーの需給がひっ迫したため、IEA加盟国が連携して備蓄を放出した。
経産省の資料によると、世界全体で計1億8000万バレルが放出された。日本は国家備蓄から900万バレル、民間備蓄から1350万バレル、計2250万バレルを出した。今年1月の日本の石油各社が精製した原油処理量と比較すると約8日分に相当する。
これ以前に日本は5回の民間備蓄の放出を実施。そのうち3回がIEAとの協調行動だった。
著者:岡田雄至、稲島剛史、Ari Natter、Grant Smith
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