【検証】中東混乱、日本の石油備蓄は十分なのか? 7つの疑問にわかりやすく回答

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備蓄の放出とは何をするのか?

放出には、入札を通じた国家備蓄の売却や、民間備蓄では義務量を削減して在庫の取り崩しを容認する方法などがある。市場への供給を増やして需給のひっ迫を解消したり、価格高騰を緩和したりする措置だ。他のIEA加盟国との協調行動として実施されることが多い。

ただし効果には限界もある。備蓄の取り崩しは一時的な対策に過ぎず、供給の途絶が長期化したり、紛争やホルムズ海峡の封鎖のような根本的な原因が解消しない場合は、価格や需給への影響は一時的なものに終わる。

石油トレーダーは効果に対して懐疑的だ。米国を含めIEA加盟国の放出分は、シティグループが推計するペルシャ湾産原油の1日あたりの供給損失(1100万-1600万バレル)の一部を補う程度にとどまるとみられる。

また、国家備蓄の放出では売却入札の実施後も運ぶためのタンカーの手配や、買い手側の受け入れの貯蔵設備の空き状況なども受け渡し時期に影響することから、需給の改善効果が出るまでには一定の時間がかかる可能性もある。

世界各国の備蓄量は?

IEAの25年11月時点のデータによれば、石油輸出国のカナダや米国を除き、加盟国合計で613日分の石油を備蓄する。IEA基準の日本の備蓄量は206日分で、G7の英国(120日)、フランス(122日)などと比べると多い。

米国は、メキシコ湾沿いに厳重に警備された4カ所の石油備蓄施設を持ち、7億バレル以上を貯められるという。エネルギー省のデータによれば、現在は約4億1500万バレルにとどまる。ロシアのウクライナ侵攻開始後、当時のバイデン政権が備蓄を放出したためだ。

トランプ政権は、石油の備蓄放出に消極的だ。大統領や共和党議員は長年、バイデン政権が米備蓄を減少させていると批判してきたため、備蓄石油を放出すれば民主党からの批判を招く恐れがある。

世界最大の石油輸入国である中国は、さらに大規模な備蓄能力を構築しているとみられる。コロンビア大学グローバルエネルギー政策センターの推計によれば、約14億バレルの原油が保管されているという。

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