出会いはパーティー《推しと結婚》した彼女の半生 夫は著名ギタリスト…23歳の彼女を海外に渡らせた「超運命的な出会い」とは
「もう、広告に張り付きました。全公演のチケットを買いに、すぐ渋谷へ向かったんです」
しかしお金がない。5公演あるうち、結局1公演分しか買えなかった。1万円以上するチケット。せめてカニサレスに一番近い席をと、最も高額な席を指定した。
“運命のパーティー”
翌年、98年3月に大学を卒業した真理子さんは、就職はせず、六本木にあるタブラオ(フラメンコショーバー)でアルバイトを始めた。9月にはスペインへ渡る予定があった。
5月、パコ・デ・ルシアの来日公演が始まった。ある日、アルバイト先の同僚から声をかけられた。
「これからパコの旧友が開く内輪のパーティーがあるんだけど、来ない?」
カニサレスもいるはずだと思った。しかしパーティー会場に着くと、期待していたスペイン人たちの姿が見当たらない。しばらく待ってみたが、大人数の雰囲気が苦手な真理子さんは、帰ることにした。
出口に向かう長い廊下を、とぼとぼと歩く。楽しみにしていただけに、落胆は大きかった。
通路に、1人のスペイン人がいた。スペイン語の練習になると思い、せっかくなので話しかけてみた。身振り手振りを交えながら、カニサレスに会いたかったのに会えなくて残念だ、と伝えた。すると、そのスペイン人はこう言った。
「僕はカニサレスと仲がいいから、彼に伝えておくよ」
これはチャンスだ。真理子さんは、自分がどれほどカニサレスの音に惚れ込んでいるかを熱弁した。どこが好きなのか、細かく説明し、曲を口ずさんだりもした。
「お願いだから絶対にカニサレスに伝えてね」
すると男性は、急にキョロキョロしだした。
「あれ、さっきまでこの辺にカニサレスがいたんだけど、おかしいな」
何か様子がおかしい。そして、一呼吸ついた彼は、穏やかに笑ってこう言った。
「カニサレスは、僕だよ」
言葉を失った。真理子さんがカニサレスの「友人」だと思っていた男性は、彼本人だったのだ。





















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