「安月給で働き、年金もロクにもらえず死ぬ」。令和に絶望する大人たちが"80年代"コンテンツに逃避する切実な理由
加えて、80年代に幼少期または青春時代を過ごしたタレントや作家も多く、この傾向に拍車をかけているのだろう。
13年のNHK連続テレビ小説『あまちゃん』は、こうした路線の先駆けとなったドラマだ。80年代のアイドル・小泉今日子や薬師丸ひろ子らが出演し、松田聖子や杏里、YMO、ヴァン・ヘイレンなどのヒット曲も流れる。
これにAKB48、ももいろクローバーZ、BABYMETALといったアイドルグループによる10年代の「アイドル戦国時代」という同時代的な熱も重なり、東日本大震災以降の閉塞感に光を照らしていたように思う。
もちろん当時40代の脚本家・宮藤官九郎の筆致があってこそだが、「朝ドラの時代設定=明治~昭和」というイメージを覆した現代劇でもあった。平均視聴率は20%を超え、今ほど動画配信サービスも盛況していなかった。ここが今の80年代ブームと大きく異なるところだ。
アニメやポップスなど日本独自のサブカルチャーが海外で人気を博すようになった昨今、国内では19年に吉本興業所属の芸人を中心とする「闇営業問題」、23年には「ジャニーズ問題」、24~25年には「フジテレビ問題」が社会を巻き込む騒動となり、芸能界やエンタメ界そのものが揺れ動いた。
こうした中で、制作側も視聴者もテレビの最盛期を思わせるコンテンツに目を向けたのかもしれない。
アメリカでもあった“あの頃はよかった”空気感の背景
現在の日本のエンタメ状況を見ていると、1985年公開のSF映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が支持されたアメリカの時代背景を思い浮かべてしまう。
この作品が描いているのは、ゴミを燃料に走る自動車型タイムマシーン「デロリアン」のような近未来だけではない。物語の主な舞台は、主人公の両親が結ばれる前。つまり、50年代の古きよきアメリカだ。




















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