都議選もSNS任せ？｢オールドメディア｣呼ばわりされたテレビ局が繰り返す《選挙報道》の"罪と罰"

キー局は全国向けの放送局であると同時に、関東のローカル局でもある。とくに夕方18時台は各ローカル局の時間帯であることが多い。それなのに、都議選の情報は流さずに、いつもどおり、安くておいしいお店の紹介などを放送している。その時間は毎日、選挙区ごとに取材して候補者の情報を伝えるべきではないか。

各局とも「SNSでの選挙情報の見分け方」は熱心に伝えている。多くの人々は兵庫県知事選で学んで、見分け方は習得している。だから、見分け方ばかりでは視聴者をバカにしているように思えてしまう。選挙戦そのものの報道をなぜ放送しないのか。

YouTubeやXの現状はどうなっているのか

テレビ局はあてにせず、積極的に情報を探そうとすると、実はYouTubeは十分に役に立つ。大田区に住む私にとって非常に参考になったのは「選挙ドットコムちゃんねる」だ。

大田区の情勢について解説している「選挙ドットコムちゃんねる」動画のサムネイル画像（画像：「選挙ドットコムちゃんねる」のYouTubeページより）

元都議会議員の鈴木邦和氏が運営するチャンネルで、お笑い芸人・山本期日前氏をゲストに大田区の立候補者を紹介し、結果予測までしてくれている。山本氏が大田区の情報もきちんと取材していることがよくわかり、信頼できると感じた。NHKの「首都圏ネットワーク」は各選挙区の情報が薄く、この動画のほうがずっと役立った。

「地方自治を考えるおおた実行委員会」というチャンネルもあり、立候補者の短い演説が聞けて役に立った。YouTubeは兵庫県知事選での立花氏の影響でフェイクだらけのイメージがあるが、自分で考えて選べば、役に立つ動画はたくさんある。テレビ局にやる気がないなら、YouTubeで十分事足りる。

心配なのがX（旧ツイッター）だ。ここでは政治系インフルエンサーたちが正しい情報と怪しい情報を混在させて発信しており、それを鵜呑みにして振り回されている人たちも多い。Xでは荒れた内容の投稿ほど表示されやすくなっており、一部の激しい言動の政党が注目されやすくなっている。

朝日新聞が専門部署を作るなど、大手メディアのフェイクニュース対策も求められているのは確かだ。Xでの偽誤情報の拡散などには効力があるかもしれない。

だが、それより何より、選挙戦そのものの報道を選挙期間中にこそ増やすべきだ。市民にとって最も必要な情報は、候補者の考え方や人となりだ。公約や理念だけが投票を決めるのではなく、人物像のすべてが左右する。それを伝えるのがテレビではなかったか。

選挙報道をネット任せにしてはならない。オールドメディアがオールドメディア呼ばわりから脱却するには、選挙期間中の選挙報道に力を入れるしかない。参院選に向けて、今からでも態勢を整えてほしい。

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