ついに国民民主が公認を取り消し…最悪の結果となった「山尾志桜里の記者会見」は何がヤバかったのか

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筆者は企業や政治家、芸能人などの方から、トラブル時の対応へのアドバイスを求められますが、会見の是非は、それを行うだけの決意と覚悟であり、腹をくくれるかにかかっています。都合のよいアナウンスだけしかできないなら、正に失敗例同様の「やらないほうがまし」レベルの結果になるでしょう。

「山尾志桜里」というブランドの持つ意味

そもそもなぜ会見を行うのかという是非に戻れば、それは事業継続が目的のはず。名誉回復という目的もあるでしょうが、現在の無法地帯と化したインターネットやSNSにおいては、裁判で勝ったところでスズメの涙程度の賠償金しか得られず、さらには誹謗中傷が絶対に止む保証などどこにもありません。

山尾さんの場合、不倫問題という最大の関心事について、一切の情報開示を拒絶したことによって、今回の出馬会見そのものが失敗に終わったと思います。絶対に避けて通れない問題への対応をせず、都合のよい情報発信だけを目論んだとすれば、戦略観が無さすぎるでしょう。

また、出馬に際して離婚前の「山尾」姓を名乗っての立候補ということですが、これまた自ら一番触れてほしくない問題に燃料を投下しているとしか思えない悪手です。

知名度のある「山尾志桜里」という名前に一定のブランドエクイティ(ブランドとしての資産価値)があることは同意します。ただしそれを使うことは、自身が一番避けたがっている問題を想起させることは必然です。

参院選出馬の環境整備も、過去の清算も、どちらも中途半端に終わった今回の会見。政治家としてのBCP(事業継続計画)は、残念ながらできていませんでした。

そしてやはり、国民民主党の公認は取り消しとなり、山尾さんが同党の候補者として政治家に復帰するという事業継続はできなくなってしまいました。戦略ミスがここまで響く、厳しい教訓だと思います。

増沢 隆太 東北大学特任教授/危機管理コミュニケーション専門家

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ますざわ りゅうた / Ryuta Masuzawa

東北大学特任教授、人事コンサルタント、産業カウンセラー。コミュニケーションの専門家として企業研修や大学講義を行う中、危機管理コミュニケーションの一環で解説した「謝罪」が注目され、「謝罪のプロ」として数々のメディアから取材を受ける。コミュニケーションとキャリアデザインのWメジャーが専門。ハラスメント対策、就活、再就職支援など、あらゆる人事課題で、上場企業、巨大官庁から個店サービス業まで担当。理系学生キャリア指導の第一人者として、理系マイナビ他Webコンテンツも多数執筆する。著書に『謝罪の作法』(ディスカヴァー携書)、『戦略思考で鍛える「コミュ力」』(祥伝社新書)など。

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