「桃太郎」「3匹の子ブタ」の”物語の要点”を≪20秒で≫伝えることができますか?「伝えるのが上手な人」がやっている話の『引き算』のコツ

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「伝えるのが上手な人」とは、物語の要素を全部は伝えません。しかし重要なエッセンスを残しながら簡潔に伝えます。ほとんどのビジネスシーンで求められている力は、こうした「桃太郎のすごさ」「三男ブタのエッセンス」を簡潔に伝える力です。

「内容をすべて伝えたい」という欲求を抑える

ビジネスでは、時間が限られていることがほとんど。「関係者全員が忙しい」という状況がデフォルトだからです。このため最初に要点、つまり「桃太郎のすごさ」だけを簡潔に伝えて、相手がさらに情報を欲しがったら残りの要素を伝えるという方法が妥当です。

不器用だった僕がたどり着いた「伝え方」の本質
『不器用だった僕がたどり着いた「伝え方」の本質』(日経BP)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

つまり、プレゼンや営業トークでは、「内容をすべて伝えたい」という欲求を抑え、ポイントを3つか4つに絞らなければなりません。

もし10枚の資料やスライドがあったとしても、相手にしっかり見せるのは3、4枚で十分という状況をつくるのが本当の準備です。

どうしても絞りきれない場合でも5、6枚程度。10枚のスライドから、重要度の低いものをどんどん「引き算」していき、プレゼンの肝となる部分を提示すべきです。

10枚以上のスライドをすべて覚えている人はいません。枚数が多いと記憶や印象が分散してしまい、逆にメッセージが伝わりにくいのです。

なので、スライドの枚数は絞った上で、聞き手から質問があれば、そのときに省いたスライドを使います。相手が関心を持った部分のみ、詳細な情報を提供できるのです。これで時間を短縮できるとともに要点が伝わりやすくなります。

プレゼンする側としては、「自分たちの商品やサービスがどれほど素晴らしいものか、もらさず伝えたい」といった思いがあるでしょう。だから、資料やスライドを時間をかけて作り、同じく時間をかけてプレゼンすることが「全力を出すことだ」と思いがちです。

しかし、それは自己満足であり、次から次に要素を加えていく「足し算」の努力です。多くのビジネスパーソンは、この「足し算」の努力に全力を尽くしていますが、本当に重要なのは実は「引き算」の努力なのです。

多くの場合、「足し算」の努力は、聞き手の満足とは一致しません。聞き手が本当に求めているのは、すべての情報、詳細な情報ではありません。相手がまず知りたいのは、要点だけ、エッセンスだけなのです。

豊島 晋作 テレビ東京報道局所属の報道記者,ディレクター,ニュースキャスター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

とよしま しんさく / Shinsaku Toyoshima

1981年福岡県生まれ。現在、WBS(ワールドビジネスサテライト)メインキャスター。2005年3月東京大学大学院法学政治学研究科修了。同年4月テレビ東京入社。政治担当記者として首相官邸や与野党を取材した後、11年春からWBSディレクター、マーケットキャスターを担当。16年から19年までロンドン支局長兼モスクワ支局長として欧州、アフリカなどを取材。ウクライナ戦争や日本および世界経済の動きなどを解説した「豊島晋作のテレ東ワールドポリティクス」「豊島晋作のテレ東経済ニュースアカデミー」などの動画はYouTubeだけで総再生回数2億回を超え、大きな反響を呼んでいる。著書に『ウクライナ戦争は世界をどう変えたか』『日本人にどうしても伝えたい教養としての国際政治』(ともにKADOKAWA)がある。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事