「いい母親になりたいのに、なれない」30代女性が激白する息子との関係/「お母さんがやってあげるからできなくていいよ」20代商社マンの悩み

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Dさんは頷いて答えます。

「その通りです。中学・高校でもそんなことの繰り返しでした。習いごとも部活もすべて途中で投げ出し、最後までやり遂げることができませんでした」

「ダブルバインド」の葛藤

Dさんは父親から「頑張れよ。お前はできる子だよ」というメッセージを受け取ってきました。もともと優秀だったこともあり、彼は勉強を頑張り、いい成績を残してきました。

一方で、母親からは常にちやほやされ、「お母さんがやってあげるからできなくていいよ。あなたはできない子でいてね」というメッセージを受け取ってきました。

おそらく母親は、Dさんを無力化させることを通じて「自分が役に立っている」という実感を得て、自己愛を満たそうとしていたのでしょう。

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父親は「お前はやればできる。もっと頑張って立派になれ」

母親は「お前が無力でいたら愛してあげる」

2つの矛盾したメッセージで混乱することを「ダブルバインド」といいます。まさにDさんはダブルバインドで葛藤を抱えている状態にありました。

Dさんは父親も母親も両方愛しているので、両方のメッセージを無意識に一生懸命受け入れようとします。

その葛藤が、「完成間近で物事を投げ出す」という行動に表れ、本人も気づかないうちにDさんの人生を損なう方向に作用していたのです。

大鶴 和江 心理セラピスト、心理分析、心理セラピー講師

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おおつる かずえ / Kazue Ohtsuru

大分県生まれ。児童養護施設で8年間過ごした体験から、さまざまな心理学や心理療法を学び、2005年に独立。延べ1万人以上の心の悩みを解決し、現在も長野と東京を拠点として活動している。独自の心理療法「リトリーブサイコセラピー」を考案。問題の利得にフォーカスしたセッションは、「悩みがリバウンドしなくなる」と評判。著書に『自分を縛る“禁止令”を解く方法:見えない「利得」に気づくと、すべての問題は解決する』(大和出版)などがある。

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