格安SIMブランド47.7%の裏側。純粋なMVNOは2021年から横ばい、サブブランドが成長をけん引する実態
「価格差が広がれば、改めて格安スマホに注目してもらえる機会になる」(松田氏)
実際、消費者の反応は敏感だ。「世間はもっと価格コンシャス、付加価値コンシャスになっている」と永井氏は指摘する。メルカリモバイルには料金に関するコメントが多く寄せられているという。

そして2024年末から2025年にかけては、異業種からの新規参入が相次いでいる。カブアンド、日本航空(JAL)といった企業が、顧客基盤を活かして通信サービスに参入。これらの動きは市場全体を活性化させている。
「格安スマホ市場ってまだまだ伸びているんだというメッセージになる」(井原氏)
既存事業者も新規参入を脅威ではなく、市場拡大の好機と捉えている。大手キャリアが高価格帯にシフトし、サブブランドやオンライン専用プランで中価格帯を固める中、純粋な格安スマホ事業者は独自の価値提供で、価格に敏感な層や特定のニーズを持つ顧客の受け皿となりつつある。
価格競争から価値創造へ
格安スマホ事業者が生き残る道は明確だ。大手キャリアと同じ土俵で価格競争するのではなく、彼らが手を出さない領域で独自の価値を創ること。
コミュニティという「感情的価値」、家族向けプランという「機能的価値」、ギガ売買という「経済的価値」——3社3様のアプローチが示すのは、格安スマホにはまだまだイノベーションの余地があるということだ。
「格安SIM元年」から10年。確かにシェアは思うように伸びなかった。しかし、独自価値の創出に目覚めた格安スマホ業界の「第2章」は、むしろこれから始まるのかもしれない。
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