デンソー、テマセク出資のオランダの種子供給会社「アクシア」を5億ドルで買収か

自動車部品世界2位のデンソーが、オランダの種子供給会社を約5億ドル(約720億円)で買収することで最終交渉している。交渉は非公開だとして複数の事情に詳しい関係者が匿名で明らかにした。
デンソーが取得するのは、シンガポールの政府系投資会社テマセクが出資するアクシア・ベジタブル・シーズ・グループ。1人の関係者によると、テマセクはアクシア株のほぼ半分を保有している。
デンソーとテマセクの担当者はコメントを控えた。オランダ拠点のアクシアは営業時間外のため現時点ではコメントを得られていない。
売上高の大部分を自動車事業で稼ぐデンソーは事業の多角化を進めており、2023年に公表した計画では、35年度には売上高の20%を食料・農業を含めた新事業から得る方針を示した。ブルームバーグがまとめたデータによると、現在の自動車事業は売上高の98%以上を占めている。
多角化に向けて23年にはオランダの施設園芸事業会社セルトングループを買収し、トマトなどの果菜類を収穫できるロボットの開発も進めてきた。同社によれば、温室および関連分野の市場規模は約7000億円に上るが、自社のシェアはわずか2%程度にとどまっており、成長余地があると見ている。今後も、技術応用が可能なスマート農業分野での買収を続ける可能性がある。
一方、テマセクは出資する企業や子会社の資産を相次ぎ売却している。アクシアは今年初め、露地栽培用の種子事業をインドの種子会社ナムダーリ・シーズに売却した。また2月には、テマセク傘下のオラム・グループは農業部門の過半数株式を、サウジアラビア国営の農業・畜産投資会社に17億8000万ドルで売却することで合意した。
著者:稲島剛史、David Ramli
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