日中関係が良好ではなくても急増する日本移住!中国で何が起こっているのか?日本は中国人富裕層の安住の地なのか?
疑問は尽きないが、「潤」のあり方をさまざまな角度から検証した本書を読み進めていくと、おぼろげながらその理由や各人が抱く考え方などがぼんやりと浮かび上がってくる。
ここでは、基本的なことがらをなぞってみることにしよう。
最大800万人が国外脱出?
「潤」という名称が中国で最初に出現したのは2018年で、2022年に入ってから本格的に流行するようになったという。注目に値するのは、「潤」ということばが持つ意味合いだ。それは社会に対する一種の不満の表明であり、そこにはどうしようもない現状への嘆きが込められているというのだ。
「中国で改革開放が当時解き放った潜在力と経済エネルギーは、過去20年で徐々に既得権益と経済エリート手中の利益に集中するようになってきた」
『フィナンシャル・タイムズ』中国版のコラムニストで香港大学で教鞭をとるブライアン・ウォン助教授は、若者世代の動向からこの流行語を読み解いた。
「一般家庭の第2世代、第3世代は生活の中で大きなプレッシャーに直面するようになっており、(中略)若者は『躺平(タンピン)』(寝そべり)の態度をとるようになった」(31ページより)
『フィナンシャル・タイムズ』中国版のコラムニストで香港大学で教鞭をとるブライアン・ウォン助教授は、若者世代の動向からこの流行語を読み解いた。
「一般家庭の第2世代、第3世代は生活の中で大きなプレッシャーに直面するようになっており、(中略)若者は『躺平(タンピン)』(寝そべり)の態度をとるようになった」(31ページより)
しばしば聞く話だが、つまりは激しい競争のなかで、とくに大都市圏においてはサバイバルに近い状況が出現しているということだ。そう考えると、「潤」はもともと激化する競争や就職戦線などによって不安にかられた若者が、局面打開を目指して海外を志向する動きであったことが推測できる。
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