「なぜ今、香取慎吾だったのか?」騒動に揺れるフジテレビで、主演ドラマが放送される“意味”…『日本一の最低男』は、あまりにも《香取慎吾の歩み》と重なる部分が多すぎる
私が驚いたのは、香取の歌声の安定感と身の軽さである。SMAPでも好きな曲はたくさんある。ただ、5人のチーム感を楽しんではいたが、香取慎吾個人の歌声やダンスの特徴は、ほとんど知らなかったのだ、とつくづく思った。
それどころか、彼の持つ大きさ、重さに「鈍さ」を連想させていた。しかし、「Circus Funk」のステージパフォーマンスを観て、それが大きな誤解だと気づいたのだ。
ヨーロッパの貴族を思わせる衣装をまとい、ダンサーを引き連れ力強くまとめる姿は、躍動感に満ちていた。映画『グレイティスト・ショーマン』(2017年)のオープニング、ヒュー・ジャックマンのイメージと重なった。
同じく2024年12月には、中森明菜の『TATTOO』をカバーし、彼の熱意で明菜が合流するという“大事件”も起きていた。
中森明菜が、他のアーティストとコラボするのはまだまだ先と思っていたので、2人が見つめ合い、レコーディングを行っている映像は、「香取慎吾が、固く閉まっていた扉を開けた!」という、天岩戸的な驚きがあった。
中森明菜は香取のライブにも参戦。同年12月15日放送のニッポン放送『中森明菜のオールタイムリクエスト』で「とても大きくいらっしゃるから、ステージ映えがすごい」と絶賛している。

リーダーシップとは違う包容力
10歳で芸能界に身を投じてから、SMAP、慎吾ママ、大河主役、新しい地図という挑戦、干されたアイドルというレッテル、配信やイベントの活動、すべての過去が幾重ものレイヤーとなり、この時代に必要な「スケール」を作り出している香取慎吾。
30代半ばから上の年齢層にとってSMAPは、必ずといっていいほど、心の青春の一部分を担っている。彼らが活躍した昭和から平成の28年間は、社会的に暗かった。しかしエンタメに関しては黄金期に突入。バラエティ番組やJ-POPは、どれだけ心の支えになったことだろう。
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