では、20代での出生率が減っているのはなぜなのか。
それは、20代の婚姻数が減っていることに尽きます。対2000年比較で言えば、20代初婚数は男女ともに約67%も減少しています。全年齢の婚姻数が同期間約41%減であることと比較すると、いかに20代の初婚が激減しているかがわかります。初婚数が減れば、それと連動して第1子出生数も減ります。そして、第1子出生数が減れば、女性の生涯出生数も減ることになります。つまり、すべては20代の初婚数によって決定されてしまいます。
ちなみに、女性の初婚数に対する第1子出生数の割合との関係である初婚第1子出生率は、2000年以降ほぼ85%程度で一定しており(令和婚で初婚が増えた2019年を除く)、これは初婚が1組増えれば、0.85人の第1子が誕生することを意味します。第1子を生んだ母親の第2子、第3子以上出生率とかけ合わせれば、初婚1組で1.8人の子どもが期待できる計算となります。これを私は初婚発生出生期待数と名付けています。しかし、初婚で1.8人産まれても、未婚が増えれば帳消しになります。
婚活支援やマッチングアプリで解決しない
出生数が減り続けているのは、子育て支援が充実していないからではありません。夫婦が産む子どもの数の問題ではなく、そもそもその前提である初婚が作られないことこそが少子化のもとです。
だからといって、婚活支援やマッチングアプリを導入すればいいという話では決してありません。「子どもが減ったから子育て支援だ」「結婚が減ったから婚活支援だ」などという短絡的な思考では何も解決しません。
ましてや、「若者の価値観が変わったから結婚が減ったのだ」「若者の恋愛離れが原因だ」などと、すぐ若者の問題にすり替えようとする識者がいますが、まったくの的外れです。
若者の結婚に対する前向き意識は少なくとも30年以上前からほぼ変わっていないし、若者の恋愛意欲も40年前から変わっていません。還暦前後の方々は、すぐ「イマドキの若者は……」と言いたがり、「高校生のデート経験なしが4割」などという統計を表層的に鵜呑みにしますが、ご自身が高校生だった40年前の高校生もそんなもので変わっていません。
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