日本株を脅かす「トランプ円高」は現実的でない 一方で日銀の利上げには「意外なプラス効果」も

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「過去最長」の施政方針演説を行ったアメリカのトランプ大統領。「ドル安円高」を実現したいようだが、今後はどうなるのか(写真:ブルームバーグ)

3月に入って、日経平均株価は一時3万7000円を割り込むまで水準を切り下げるなど、不安定な展開が続いている。

いつまで、どこまで日本株安は続くのか

その原因はどこにあるだろうか。まず世界経済を俯瞰すると、アメリカ経済は消費者マインドが冷え込むなど不気味なデータもあるが、失業率は低水準を維持している。

また製造業指標の改善に期待が持てる状況になってきたことも重要だ。2025年1月のISM(全米供給管理協会)製造業景況指数は50.9となり、活動の拡大と縮小の境目である50回復を遂げた。これは実に2022年10月以来のことだ。2月の同指数も市場予想は下回ったものの、50.3となり、2カ月連続で50を突破した。

昨年11月にアメリカ大統領選挙が終了したことで、ようやく民主党か共和党かという政策不透明感が後退した。これまで手控えられてきた案件が実行に移されたことで、生産・投資活動は今後も活発化するのではないか。また、関税政策に加え、警戒を強める中国との経済的分断が深刻化するとの懸念は根強いが、逆にアメリカ国内でのサプライチェーンを再構築する動きが加速する可能性もあり、リスクは必ずしも下向きではない。

それに加えて、欧州にも光明が差し込んでいる。公開の場でのアメリカとウクライナの首脳会談決裂という事態は起きたものの、ロシア・ウクライナによる停戦協議が前進するとの期待感は消えておらず、いくつかの景況感指標が上向くなどといった明るい兆候が散見される。この間、中国については不動産市況の長期低迷が足かせとなり、依然として多くを期待できる状況にはないものの、逆に減速感が強まっている様子もない。

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