明治の「日本の工業化」こんなにも凄かった理由 地理と日本史を同時に学ぶことで見える視点

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19世紀の時代から、ここまで徹底的に外国の技術を真似することができた国は、おそらく日本を置いてほかにないと言えるでしょう。当時「日本は外国の真似事ばかりだ」と揶揄されたという話もありますが、外国の技術を取り入れたからこそ、工業化に成功したという側面もあるのではないかと考えられます。

中国の清朝も同じように外国の技術を取り入れる洋務運動を行ってはいましたが、日本ほど徹底的には真似することができなかったともいわれており、これが日清戦争の勝敗を分けた原因なのではないか、ともいわれています。

人口増加で労働力も確保

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もう1つ日本にとってプラスに働いたのは、明治維新以降の人口の増加でした。

江戸時代までは基本的に食べなかった肉も食べられるようになり、動物性タンパク質の摂取で食生活が改善され、人口が爆発的に増加しました。

また、西洋医学が取り入れられ、公衆衛生も改善されるようになりました。

明治初期(1868年~1870年頃)の日本の人口は約3300万人だったといわれていますが、1920年に初めての国勢調査が行われた際の人口は約5600万人だったとされています。50年ほどで約2300万人も増加していることがわかります。

そして増加した人口が、安価な労働力として、工場労働に従事するようになったのだと考えられます。

この当時の日本の工業化は、第2次世界大戦後の多くのアジア諸国の経済発展のパターンと重なる部分も多いでしょう。日本は技術者を誘致していたわけですが、中国やそのほかのアジア諸国も外国企業を誘致して、日本が昔やっていたことと同じことをしていたのです。

いかがでしょうか? 地理的・経済的な知識があると、日本の歴史もより深く理解できるようになります。地理の勉強と日本史の勉強は密接に関わっているのです。ぜひ、日本史の勉強をする受験生や、社会人の皆さんには、地理にも目を向けてみていただければと思います。

宇野 仙 駿台予備校地理科講師

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うの たける / Takeru Uno

1978年、北海道旭川市生まれ。慶應義塾大学商学部を卒業し、Z会東大進学教室講師や河合塾地理科講師を経て現職。「知識より知恵を」が最大の信条。「なぜそうなるのか」「他に考えられる事柄はないのか」を受験生と対話しつつ、社会に出てからも役に立つ論理的思考力や多角的・多面的な考察力を地理の授業を通して伝えている。著書に『センター地理B 最速攻略法』(旺文社)『大学入試 地理B論述問題が面白いほど解ける本』『地理B 早わかり要点整理』(ともにKADOKAWA)、『ぐんぐんわかるセンター地理B』(駿台文庫)がある。

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