セガゲーム原作ドラマ「龍が如く」酷評は正当か 実写で"ヤクザ"を描くことが難しくなった現実

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場面に応じてセットを組むだけでなく、廃墟と化した場所を選んで撮影することもあるなか、ドラマの内容を説明した途端に撮影の許可が下りないことがあったそうです。また楽曲協力に関しても方針の違いから断られることも。

武監督
「今の時代、とにかくマイナスになることは“全部やめましょう”となる。もうちょっと考え直したほうがいいんじゃないか」と表現の自由を訴える武監督(筆者撮影)

そんな事態を受けて「暴力を肯定している作品では決してありませんが、表現することの自由を奪われるのはどうかと思います。今の時代、とにかくマイナスになることは“全部やめましょう”となる。もうちょっと考え直したほうがいいんじゃないかと思いますね」と武監督が訴えます。

「ドラマの中で悪者が登場しない物語って僕は見たくないですよ。人はどこかで足りないところがあったり、ズルいところがあったり、歪んでいるところがある。問題を抱えているわけですから、この作品の中でも悩みや苦しみ、そして暴力に対する虚無的な気持ちを表現しています」

「星1つ」評価が集まるがランキングではトップ10入り

こうした制作側の思いとは裏腹に、Amazonカスタマーレビューでは「星1つ」に評価が集まり、アメリカ批評サイトのロッテントマトなど海外でも一般ユーザーからは手厳しい反応を受けています。一方で、配信直後に100以上の国と地域のAmazonのプライム・ビデオ公式ランキングでトップ10入りを果たし、数ある作品のなかで注目度が高かったことも事実。

極端に低い評価は原作との比較が多く、高い視聴実績は原作のネームバリューに加えて、今の日本で手を出しにくい実写の題材を扱ったことも数字に結び付いたのではないかと思います。現段階ではハイリスクハイリターンと言えますが、ドラマ化から長期的なリターンに繋がっていく可能性はあります。

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長谷川 朋子 コラムニスト

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はせがわ ともこ / Tomoko Hasegawa

メディア/テレビ業界ジャーナリスト。国内外のドラマ、バラエティ、ドキュメンタリー番組制作事情をテーマに、テレビビジネスの仕組みについて独自の視点で解説した執筆記事多数。最も得意とする分野は番組コンテンツの海外流通ビジネス。フランス・カンヌで開催される世界最大規模の映像コンテンツ見本市MIP現地取材を約10年にわたって重ね、日本人ジャーナリストとしてはこの分野におけるオーソリティとして活動。業界で権威ある「ATP賞テレビグランプリ」の「総務大臣賞」の審査員や、業界セミナー講師、札幌市による行政支援プロジェクトのファシリテーターなども務める。著書は「Netflix戦略と流儀」(中公新書ラクレ)。

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