「踊る大捜査線」新作公開が示す刑事ドラマの悲喜 新作映画公開&過去作一挙放送から何が読み取れるか

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ただ、ドラマのスタートから27年、映画「FINAL」から12年もの時が過ぎ、さらに今回の映画には主人公・青島俊作と主演・織田裕二さんの名前はクレジットされていません。

それでも「踊る」シリーズの再放送を令和の今、見ることにどんな意味があるのか。ヒットにつながった背景、後の作品に与えた影響、今だから気づく新たな発見などをあげていきます。

まず新シリーズが12年ぶりでも、青島や織田さんがいなくても注目度が高い理由の最たるところは、「プロデュース:亀山千広、脚本:君塚良一、監督:本広克行」のスタッフが再集結することでしょう。下記に3人が手がけた主な作品をあげていきます。

亀山さんは「あすなろ白書」「若者のすべて」「ロングバケーション」「ビーチボーイズ」(すべてフジテレビ系)などのヒットドラマをプロデュースしたほか、「海猿」シリーズ、「THE 有頂天ホテル」「それでもボクはやってない」「HERO」「容疑者Xの献身」などのヒット映画の製作に携わりました。

君塚さんは「心はロンリー気持ちは『…』」シリーズ(フジテレビ系)、「ずっとあなたが好きだった」「誰にも言えない」(TBS系)、「ナニワ金融道」シリーズ(フジテレビ系)、「教場」シリーズ(フジテレビ系)などの脚本を担当。

本広さんはドラマ「アンティーク ~西洋骨董洋菓子店~」「SP 警視庁警備部警護課第四係」「ナンバMG5」(すべてフジテレビ系)、映画「サトラレ TRIBUTE to a SAD GENIUS」「サマータイムマシン・ブルース」「UDON」「少林少女」、アニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」(フジテレビ系)などの監督を務めました。

今秋の新作「室井慎次」のように青島以外の登場人物が主人公を務める作品も多い「踊る」シリーズは、織田さんの主演作であることと同等以上に「亀山・君塚・本広トリオの作品」と言っていいでしょう。

室井慎次
(画像:「踊る大捜査線」公式サイトより)

刑事ドラマの定番を覆した脚本

中でも「踊る」を国民的ヒット作に導いた中心人物は、脚本を手がける君塚さん。

ラブストーリーの概念を超えた「ずっとあなたが好きだった」だけでなく、最後までジャンルのわからない作品だった「ラブコンプレックス」(フジテレビ系)、月9ドラマにロードムービーの要素を採り入れた「ホーム&アウェイ」(フジテレビ系)など、これまでドラマのジャンルや放送枠のセオリーをあえて避けるような物語を手がけてきました。

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