「片付けられたゴミ屋敷」その1年後の驚く実態 「ゴミ屋敷で生まれ育った子」が異常に気づく瞬間

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過去にこの連載で配信した『「子2人とゴミ屋敷に住む」シングルマザーの孤独』で取り上げた家庭もそうだった。ゴミ屋敷というだけで、「育児放棄」という言葉を連想してしまいがちだが、実際は決してそうではなかった。

片付けられたゴミ屋敷、その1年後は

ゴミ屋敷連載
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見積もりを終え、女性の実家はイーブイによってゴミひとつないきれいな空間に生まれ変わった。「実家が心地良い」と感じたのは生まれて初めてのことだという。

しかし、ゴミ屋敷につきものなのが、「どうせまた元に戻る」という意見だ。イーブイが配信している動画にも、同じようなコメントが多く残っている。たしかに、「ただ片付けただけ」では、すぐにゴミ屋敷に戻ってしまうことが多い。だが、この家族のようにゴミ屋敷に向き合った経験があれば、そうとも限らない。

片付けが完了した後の様子(写真:「イーブイ片付けチャンネル」より)

片付けから1年経った実家の様子はどんなものか。女性が近況を教えてくれた。ゴミ屋敷には戻っておらず、家族の関係も修復されたという。

「暮らしに必要なものとかもまたイチから揃え直したので、結構な時間とお金と労力がかかったと思うんですけど、そのことでまた家族が協力し合うようになりました。あれから母も少し落ち着いたようで、一刻も早く生活を立て直そうと頑張っています。ハウスクリーニングやリフォームを依頼できるお金まで用意できなかったので、母と父が毎日仕事から帰宅後に家の掃除をしているようです。20年近く家族のために動くことをせず、毎日お酒を飲んで寝ていただけの父が、毎日夜遅くまで家の掃除をしているそうです」

汚れが落ちなかった壁は、弟と父親が一緒に塗り替えた。父親は仕事に復帰し、リビングには弟の彼女が入り浸っているという。

ゴミ屋敷状態から一変したリビング(写真:「イーブイ片付けチャンネル」より)
きれいな状態に保たれたキッチン(写真:「イーブイ片付けチャンネル」より)
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國友 公司 ルポライター

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くにとも こうじ / Kozi Kunitomo

1992年生まれ。筑波大学芸術専門学群在学中よりライターとして活動。訳アリな人々との現地での交流を綴った著書『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』(彩図社)が文庫版も合わせて6万部を超えるロングセラーに。そのほかの著書に『ルポ路上生活』(KADOKAWA)、『ルポ歌舞伎町』(彩図社)がある。

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