上司が「悪い」ほど部下がメキメキ伸びる納得理由 教えてくれないし、責任とってくれないけれど

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「恵まれた」環境は地頭力には必ずしもいい影響を与えませんが、一般的には至れり尽くせりで「何でも教えてくれる」環境がよい環境とみなされています。企業でもトレーニング環境が充実していることが、採用で学生をひきつける大きなうたい文句になっています。

こうした認識が生まれた背景には、これまで知識力を重視してきた日本の教育や企業が、意識的にか無意識のうちにか、知識力を着実に養成するのに適した環境を作りあげてきたということがあるでしょう。

なぜ結論から話せないのか?

知識力がつく環境は、ひとことでいえば「足りている」環境です。地頭力がつく環境というのは「足りていない」環境です。地頭力を養うのに適さない環境、つまり「足りている」環境にいる人は、意識的に「足りていない」環境に自分を置いてみることも必要になるでしょう。

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所属している組織や会社のお金でトレーニングに行ける、書籍を買える、こんなことが好きなようにできる環境にいる状態が、本当に「恵まれている」といえるのでしょうか。短期的には得をしても、「他人の金で」学ぶよりも、使い道を十分に考えて「自分のお金」を投資するほうが、長い目でみたらよっぽど効果があるのではないでしょうか。

知識力は受動的でも身に付きますが、思考力としての地頭力には「自分から動く」という能動性が必須になります。そんな場合にはむしろ一般に言う「恵まれていない」環境のほうが実は恵まれているという見方もできるのです。

細谷 功 ビジネスコンサルタント、著述家

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ほそや いさお / Isao Hosoya

1964年、神奈川県生まれ。東京大学工学部卒業後、東芝を経てアーンスト&ヤング・コンサルティング(クニエの前身)に入社。2009年よりクニエのマネージングディレクター、2012年より同社コンサルティングフェローとなる。問題解決や思考に関する講演やセミナーを国内外の大学や企業などに対して実施している。

著書に『地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」』、『アナロジー思考 「構造」と「関係性」を見抜く』『問題解決のジレンマ イグノランスマネジメント:無知の力』(以上、東洋経済新報社)などがある。

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