JX金属がリサイクル原料の活用を進めるのは、将来的に銅の需給逼迫が想定されるためだ。世界の人口増加は続いており、発展途上国では生活の電化が進む。銅を使用した家電や、電気を流すための銅線の需要は増え続けている。
さらに銅の消費増に拍車をかけると予想されるのが、脱炭素の流れだ。電気自動車(EV)はガソリン車と比べて約4倍の銅が使われる。また太陽光発電など再生可能エネルギー由来の電源は、化石燃料で同じ発電容量を得るのと比べて約4倍の銅が必要とみられる。
電源が分散化されて電力供給網の構築がさらに必要となることも、銅の使用量拡大につながりそうだ。
そうなれば、既存の銅鉱山による供給量だけではいずれ需要を賄いきれなくなる。JX金属の安田豊金属・リサイクル事業部長は「鉱山開発を進めて1次資源を確保することも重要だが、リサイクルによって需要を補うことが必要になってくる」と強調する(安田氏のインタビューはこちら:「JX金属の『銅のリサイクル』は供給不足を救えるか」)。
リサイクル原料の比率向上も進めていく。現在、佐賀関製錬所では製錬時の銅原料の15%がリサイクル原料だが、2040年までに5割まで上げる目標を掲げる。
技術的には簡単でない
技術的には簡単なことでない。銅精鉱には酸化反応を引き起こす硫黄が含まれており、製錬の際の熱源になる。これがリサイクル原料の割合が増えることで減少すれば、熱源不足になりかねない。さらに、リサイクル原料には銅以外の金属が銅精鉱とは異なる比率で含まれるため、それをいかに取り除くかという課題もある。
竹林所長は「(リサイクル原料の比率)25%以上が、新しい技術が必要になるポイントになる」と話す。2020年10月には、製錬所内に独立した研究開発拠点として「技術開発センター佐賀関分室」を設置。技術開発に磨きをかける。
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