脱炭素に向けて全方位戦略を掲げるトヨタ自動車が大事にしている情報発信メディアがある。2019年1月に豊田章男社長肝煎りでウェブ上に開設された「トヨタイムズ」だ。
開設の大きなきっかけは、18年1月に豊田社長が「自動車メーカーからモビリティカンパニーへの変革」を宣言し、仲間づくりを加速させたことだ。社内のみならずトヨタグループ以外のパートナー企業やトヨタとの協業を検討する企業に対し、変革を進める自社の取り組みを丁寧に伝える必要性が出てきた。だが、従来の広報では限界があった。豊田社長は当時「マスメディアのフィルターを通さず、われわれの意思を知ってもらう選択肢をつくる必要がある」と周囲に語ったという。
開設当初に目立ったのは、これまで対外的に明かされてこなかった情報だ。例えば、労使交渉の現場にカメラを入れ、動画として配信。労使交渉の結果が記者会見をするより先にトヨタイムズに掲載されるなど、情報の「トヨタイムズファースト化」も進んだ。
変わろうとするトヨタの模索を積極的に発信する反面、「豊田章男、はじめてのおつかい」や「【密着】豊田章男の休息」などの記事もあり、「豊田社長の個人的なプロモーションメディアではないか」(トヨタグループの部品メーカー首脳)と揶揄する声があったのも事実だ。
それが、「最近は公に向けたトーンへと変わってきた」(同)。自動車業界が直面する脱炭素という大きな課題を前に、自社の考え方を発信する内容が急激に増えてきたのだ。
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