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真珠養殖発祥の地、国内富裕層に人気の超高級リゾートも 志摩市 [三重県]

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志摩市は三重県の志摩半島南部にある人口約4万8000人の街だ。2016年、市内の賢島(かしこじま)が第42回主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の開催地となったことは記憶に新しい。「御食国(みけつくに)」と呼ばれた地域でもあり、古代~平安時代には魚や貝類などの海産物を朝廷や伊勢神宮に納めていたという。

水産資源が豊富なのは、入り組んだリアス式海岸の存在が大きい。的矢湾のカキ、英虞湾(あごわん)の真珠の養殖は全国的に有名だ。この両湾は水深が深く、外洋の影響を受けにくいため古くから漁業が盛んだった。養殖にも適した地形で、明治期半ばの1893年には、御木本幸吉が世界で初めて半円真珠の養殖に成功。真珠養殖の街として脚光を浴びることとなる。

真珠養殖で有名な英虞湾。リアス式海岸の入り組んだ様子がよくわかる(PIXTA)

真珠養殖にはアコヤガイが利用される。毎年春に母貝への核入れが行われ、真珠が育つまでの間、水温などの環境に注意を払いつつ湾の内外を移動させる。手塩にかけて育てられた真珠は、高度成長期、人々が豊かになる中で人気を集めた。1950年代後半~60年代半ばの真珠ブームで年間生産量が飛躍的に伸び、50トンを超える年が続いた(三重県全体値)。

だが、過剰な生産は品質の悪化につながった。真珠以外の宝飾品の需要も高まる中で生産量は急減。その後、海水温上昇の影響や生産者の高齢化もあり、現在は4トン程度だ。生産額も、80~90年代には100億円以上で推移したが、18年は36億円だった。

水産資源や真珠のイメージが強いが、観光の街でもある。美しい自然や温泉は人々を引きつけた。名古屋、大阪方面からのアクセスもよい。賢島駅までは近鉄名古屋駅から特急で2時間10分程度、大阪難波駅から2時間半程度だ。

戦後、近鉄などが中心となって志摩半島にホテルや旅館が建設された。94年にはスペインの街並みを再現したリゾート施設、志摩スペイン村も開業した。

だが、海外旅行が当たり前の時代になり、観光の選択肢が増えていく中で、伸び悩むようになった。三重県の観光客にはやはり伊勢神宮を目的とする人が多い。志摩まで足を延ばす場合にも、滞在せず去ってしまう傾向が見られる。

コロナ禍前の19年は年間約418万人の観光客が志摩を訪れたが、そのうち宿泊客は151万人にとどまった。6割以上が日帰り客だったということだ。

滞在型観光に期待

東京からだと、鉄道で片道4時間ほどかかる。香港に行くのと時間的には変わらない。1~2泊では、かかる時間と費用に見合わないと考える人も多いだろう。その意味では、この街は中長期滞在型のリゾートを目指すべきだ。

都市の喧噪を離れ、豊かな自然景観や食を楽しみながら過ごすことに適した環境だ。リモートワークやワーケーションの場にもなりうるだろう。

16年春には、東南アジアや欧米を中心にラグジュアリーリゾートを展開するアマンと三井不動産が共同で、アマネムという超高級リゾートをオープンした。1泊10万円を超える料金設定にもかかわらず、国内の富裕層を中心に人気を集めている。

志摩は日本人の好みやライフスタイルの変化を捉えられるのではないか。期待が高まっている。

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