過度にリスクを取る地銀 運用のプロを育成せよ 小栗直登 和キャピタル 社長
金融庁は7月に公表した地方銀行に対する有価証券運用モニタリングの中で、「経営体力やリスクコントロール能力と比較して有価証券運用でのリスクテイクが過大な地域銀行が少なからず存在する」と指摘した。長引く低金利や資金需要の低迷が地銀経営を圧迫し、運用部門には過大な圧力がかかる。地銀経営に詳しい小栗直登氏に聞いた。
──地銀の有価証券運用の実態をどう見ていますか。
私は「なし崩し運用」と呼んでいる。過剰流動性の中で運用先に困っている。日本国債の利回りが低いので、米国債を買い、株の運用も増やしている。それでも(求めているリターンが)足りないので、資金がクレジットもの(社債など)や仕組み金融など(よりリスクの高い運用先)へ流れている。日本銀行に資金を預けておくとマイナス金利になるので、10年物日本国債を買っている。0.03〜0.05%程度のプラスになるが、円債の金利リスクを考えれば、リスクとリターンは見合っていない。
──地銀の運用は「素人運用」と批判されたりもします。
地銀の経営者で市場のことがわかる人は少ない。市場での運用を経験した頭取もほとんどいない。
市場運用はタイミングが重要だ。(マイナス金利であっても)日銀に資金を置いておき、投資のタイミングが来たときに買えばよい。しかし、「預金をマイナス金利で運用するのはまかりならん」と(社内外から)批判されるので、高リスクの運用に資金を投じている。流動性が低いにもかかわらずクレジットリスクを取りに行っている。リーマンショックのようなことが起きると、大損をする。仮に1兆円を運用するとして、そのうち5〜10%をハイリスクの運用に回すのは構わないが、核となる運用部分で過度なリスクを取っている。私が「仕組まれ債」と呼ぶ仕組み債も、仕組んだほうが儲かるに決まっている。金融庁が指摘するように、地域金融機関の中には「あそこがやっているから大丈夫」という程度の管理で投資しているところがある。
──組織や人材の面での課題は?
市場運用にはそれなりの経験が大事だ。ところが銀行の本業は預金と貸し出しで、キャリアパス上、(成績が上がらないなど)国内営業に向いていない人を市場部門に異動させることがある。2、3年で代わる腰掛け程度のジョブローテーションでは人が育たない。それに、市場部門は利益を上げられる部門なのに、営業店ではないので一律の人員削減の対象になったりする。本当はそういう経営のビジョンから変えていかないといけない話で、一朝一夕にできることではない。
──一昨年から運用担当者向けの「小栗塾」を始めました。
投資のテクニックではなく、ポートフォリオマネジメントを教えている。こうすれば勝てるという方法は市場運用には存在しない。銀行ごとに運用のカルチャーや規定が違うので、マーケットに向き合う中で自分でよく考えてもらい、それをベースに自分の銀行に落とし込んでもらっている。
(聞き手・本誌:山田徹也)






















無料会員登録はこちら
ログインはこちら