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日本橋「青空」復活のお勘定 計画縮小で決着

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首都高地下化計画は2002年に提言書が出されており、16年越しで計画が決定した

炎天下、老若男女が一斉にブラシで日本橋を磨く。7月23日、名橋「日本橋」保存会が主催する「橋洗い」が行われた。「日本橋のよい状態を後世に引き継ぐほか、『現状』を知ってもらう意味もある」(保存会事務局)。

現状とは、東京・日本橋の真上に架かる首都高速道路のこと。過去には「日本橋に青空を、日本橋川に光を」とのスローガンを掲げて署名活動を行い、首都高の地下移設を求める請願書を衆参両議院に提出している。

青空を取り戻す野望は、絵空事ではなくなりそうだ。国土交通省、東京都、首都高速道路らで構成する検討会は7月18日、首都高の地下移設にかかる事業費をまとめた。神田橋ジャンクション(JCT)から江戸橋JCTまでの約1.2㌔㍍の地下化の総事業費を約3200億円と試算。うち首都高が2400億円、自治体と民間が400億円ずつを負担することで合意した。時期は未定だが、東京五輪後に着工する計画だ。

当初5000億円ともいわれていた総事業費を圧縮すべく、江戸橋JCTのうち日本橋方面から汐留方面に向かうルートを廃止し、西側の八重洲線とKK線を通過させる。

だが、ここで別の問題が生じる。八重洲線とKK線は大型車両の通行ができず、地下化とは別途改修工事が必要になるのだ。八重洲線は出入口の改修や車線を区切る白線の引き直しなど軽微な改修で済みそうだが、KK線は高架橋の耐荷重が不足するうえ、大型車が曲がれない急カーブが2カ所あるため、大掛かりな工事が必要だ。高架下にひしめくテナントとの調整も見通せない。銀座でKK線の運営や不動産賃貸を営む東京高速道路は「改修工事については、国交省の資料で初めて知った」と驚きを隠さない。

総事業費のうち、改修工事として計上されている分は八重洲線の出入口工事の70億円のみ。迂回路となる両線の改修費用は数百億円規模に上るとみられる。

また首都高の本体工事自体も、試算金額で収まる保証はない。本体・関連工事費など計2020億円を見込むが、「日本橋周辺は地盤が軟弱なうえ、地中に埋設物もあるだろう。トンネル掘削は簡単ではない」(ゼネコン幹部)。追加・変更工事によって事業費が膨らむ可能性も高い。

概算事業費ではひとまず決着がついたが、「具体的な改修計画は今後議論する」(首都高)としており、追加費用の議論はこれから。東京高速道路の17年度の売上高は約37億円しかなく、事業費の負担割合という、一度は消えたかに見えた火種が再びくすぶる。

街づくりの起爆剤へ

そもそも首都高が日本橋川の中に建てられたのは、1964年の東京五輪に間に合わせるため。用地買収が容易だったのが理由で、そこに景観や都市計画という視点はなかった。国交省によれば、地下化は首都高の大規模更新の一部であり、江戸橋JCTの渋滞緩和にもつながるという。地下化を景観だけでなく、抜本的な都市計画の起爆剤にできなければ、青空の値段は高くつきそうだ。

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