貧困家庭の子ども塾 「寄り添う」姿勢が大事
子ども食堂や無料の学習塾など、貧困家庭の子どもたちを支援するボランティア活動が広がっている。運営は地域住民やNPO法人などで、子どもの居場所作りや学力向上に役立っている。東京・八王子市で中高生向けの「八王子つばめ塾」を開いている小宮位之氏に聞いた。
──塾にはどんな子どもが通っているのですか。
中高生が約90人で、うち中学生が9割。家庭環境は母子家庭と共働き家庭が半々だ。きょうだいが多いのが特徴で、大体3人以上。6人きょうだいの子もいる。
僕も都営住宅に住む、貧しい家庭に育った。僕はたまたま祖父母に学費を出してもらい大学に進学できたが、ここの子どもたち全員が大学進学できるかというと厳しい。大学に行くならば自分で何とかしなさいという家庭の子が多い。
有料の塾に通うには最低月2万〜3万円かかる。年収200万円の家庭でも子ども1人なら何とかなるが、中学生前後の子どもが3人だと、とても払えない。僕は「月2、3万円の壁」と呼んでいる。
──先生役はどんな人ですか?
最初の生徒は中学2年生の男の子だった。僕が先生となって2人で始めた。先生は現在、社会人中心に大学生もおり合計80人いる。
目標は都立高への合格。勉強や成績は一つの軸だが、決して「有料塾の廉価版」ではない。一つのことに真剣に取り組む、あるいは受験という厳しいチャレンジを行う。そういうことをサポートする、一種の人材育成を行っている。先生には、大学生やいろんな分野の社会人がいて、子どもたちとの化学反応が面白い。
つばめ塾には立派な映像設備もパソコンも、高度な教える力を持った先生もいない。でも教育の本質はそこにはないのではないか。本当に大事なのは生徒の隣に座って、寄り添ってあげること。ここに来るのは、親が仕事や家事に忙しく、勉強には手間暇をかけてもらえなかった子どもたちだ。経済的に苦しい母子家庭が難しいのはそこだと、無料塾をやっているうちに気づいた。
──学校ではそこまで手が回らないのでしょうか。
「ブラック先生」「ブラック部活」という言葉があるように、学校には生徒をフォローする余裕がなくなっている。教員の業務が多すぎるからだ。学校現場には、「教員がどのくらい忙しいか」を調べるアンケートが文部科学省、都道府県、市区町村からそれぞれ来るから教員が忙しい、というブラックジョークがあるほど。子どもの貧困対策は特別なものではなく、学校教員の負担を少しでも減らし、子どもたちの話をじっくり聞いてあげる余裕を作るべき。
──つばめ塾の名前に込めた思いを聞かせてください。
つばめ塾は全員ボランティアで成り立っている。いわば巣のようなものだ。ここを巣立った子どもたちには、ここでなくていいので、ツバメのようにいつかまたボランティアとして戻ってもらいたい。その種まきであり、人材育成の塾だと思っている。
(聞き手・本誌:山田徹也)




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