私がハーツユナイテッドグループ(HUG)創業者の宮澤栄一会長から社長就任の打診を受けたのは2017年のはじめごろ。私がこれまで社長を担ってきたファーストリテイリングやローソンとは業界も会社の規模もまったく異なるので正直悩んだ。最終的には宮澤会長の熱意とHUGの高い事業ポテンシャルに感銘を受けて社長就任を決めた。
HUGはゲームソフト向けのデバッグ(不具合を修正する作業)が主力事業の会社だ。これからの10年で、デバッグやシステムテストの市場は間違いなく拡大する。IoT(モノのインターネット)の普及によって爆発的にデジタルデバイスが増えるからだ。03年に世界で5億個だったデジタルデバイスは、20年には500億個になる。そして、それらをつなぐソフトはどんどん複雑化していく。
デバッグ市場は成長する 組織も大胆に変えていく
──HUGの強みは何でしょうか。
創業からの16年間で培ってきたノウハウがある。現在、国内15カ所の拠点に8000人のテスター(主にデバッグを専門とする技術者)を抱えている。この人材を生かすことで、HUGは世の中で必要とされる存在になれる。
宮澤会長もHUGの強みを認識していたが、自分の力だけで会社を次の成長ステージに導くのは難しいと感じていたようだ。そのときに私と出会った。「オーナーとして支えるので、玉塚さんには社長としてHUGの可能性を本気で追求してほしい」という宮澤会長の言葉に心を打たれた。
──11月には新たな事業方針を発表しました。
私の仕事は今までの延長線上の経営から脱却し、急激な成長を実現することだ。社員にはそれを「第2創業」と話している。組織もダイナミックに変えていくつもりで、すでにCTO(最高技術責任者)を外部から招き入れた。
今後は既存のゲーム業界向けデバッグ事業をベースとしながら、それ以外の分野を開拓する。具体的にはシステムテストやセキュリティサービスといった領域だ。日本の事業会社では人手不足が深刻化しており、本業に人材を集中させる動きが出てきている。それによってシステム周辺のアウトソーシングが増えるので、まずはその需要を取りに行く。
──これまでにない大きな体制転換で、現場は混乱するのでは?
確かに現場はカオスな状態にある。しかし、混乱なくしてブレークスルーはない。私がファーストリテイリングに入社した1998年ごろがまさに現在と似た状況だった。混乱を乗り越えて事業構造を根本的に変えることができたからこそ、当時の売上高が800億円ほどだったファーストリテイリングがここまで巨大な企業になることができた。今まで頑張ってきた人と新しく加わった異分子を束ね、成長につなげていくことが経営者としての役割だ。
(聞き手・本誌:渡辺拓未)
ハーツユナイテッドグループは2001年創業のIT企業で、17年3月期の売上高は約150億円。利益の大半をゲーム向けデバッグ業務が稼いでいる。創業者の宮澤栄一会長がアルバイトから独立する形で会社を立ち上げ、現在まで経営の舵取りをしてきた。17年6月に就任した玉塚元一社長は新分野の開拓に力を入れており、3年後に売上高500億円という目標を掲げている。


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