日経平均株価が11月前半に一時、2万3000円を約26年ぶりに突破するなど、株式市場はにぎわいを見せている。そんなニュースを連日、見聞きして、株式投資に関心を持っている読者も多いのではなかろうか。
株式投資の鉄則は「安く買って高く売る」。将来的に業績拡大が見込めるのにまだ株価が割安な銘柄に投資し、大きく値上がりしたところで売るのが理想。しかし、それが簡単に実践できるなら誰も苦労はしない。プロの機関投資家でも最適な売買のタイミングを見極めるのは難しく、一般の個人であればなおさら。特に難しいのが、下落局面でどう動くかだ。
購入した銘柄の株価が下落。売ると損が出てしまうので上昇に転じるのを待ったが、さらに値下がりして含み損が拡大してしまった──。個人投資家が最も陥りやすいのがこのパターンで、後でこう嘆くのだ。「ズルズルと持ち続けるんじゃなかった。早めに売っておけば傷が浅く、ほかの銘柄に乗り換えて挽回できたかもしれないのに……」。
絶対に損したくない人間の心理が強く影響
ではなぜ、誰もがこうした失敗を犯しやすいのだろうか。その理由は、行動経済学や行動ファイナンスによって説明することができる。下のグラフは行動経済学のプロスペクト理論の要を成す「価値関数」を図式化したもの。グラフの縦軸は人間が感じる価値(喜び・悲しみ)を表し、横軸は右側が利得、左側が損失を示す。

ここで興味深いのは、損失が出た時の人間の心理状態。たとえば、10万円の利得があれば喜び、逆に10万円の損失が出たら悲しむ。しかし、その喜びと悲しみの大きさ(絶対値)は同じではなく、利得時の喜びよりも、損失を被った時の悲しみが格段に大きい。
このため、人間は「とにかく損をしたくない」という気持ちが強く、株価が下落して含み損を抱え込んでしまった際、損切り(売却して損失が確定すること)を避けようとする心理が働く。そして、「しばらく待てば株価は上がるはず」と根拠のない見通しを自分に言い聞かせ、より大きな損失を被ってしまうのだ。こうした失敗を犯さないためにも、株式投資では自分なりの損切りルールを作っておくことが必要である。

行動ファイナンス
人間の心理が投資行動に及ぼす影響を分析した理論で、行動経済学を金融分野に応用したもの。伝統的な経済学が「人間の合理的行動」を大前提とするのに対し、「人間は必ずしも合理的な行動をするとは限らない」との前提に立ち、心理的視点からマーケットの動きを分析・説明する。金融商品市場の動きを理解するうえで、重要な知識になっている。






















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