あらためて言うまでもなく、資本主義経済の基本は市場競争にある。そして市場競争は、消費者あるいは利用者が製品やサービスを評価する場だともいえる。
品質がより高く、利便性が高いと消費者が感じる商品、より安い価格で提供される製品が、消費者に評価され生き残る。そして、消費者に評価されるべく、企業はよりよい製品やサービスを提供しようと技術開発や製品開発を行う。
このように、消費者により評価される製品やサービスが生き残るというメカニズムを通じて、市場競争は資本主義を発展させてきた、というのが教科書的な理解だ。
しかし、現実にはこのようなきれいな形で市場競争が生じるとは限らない。そして、近年はその動きがより顕著になってきているように見える。それは筆者が以前から指摘している、「競争の前倒し」という現象が激しくなってきているように見えるからだ。
競争の前倒しとは、本来は消費者の評価によって優劣が決まるべき市場競争において、それより前のレベルで決着がついてしまう現象を指す。
典型的な事例が規格競争だ。たとえば、VHS対ベータの規格競争の場合には、どちらの規格を消費者が評価するか長期間にわたって競争が起きた。消費者は長い間、製品を実際に使い、評価することが可能だった。
ところが、ブルーレイ対HD DVDの規格競争のときは、VHS対ベータの競争が長い消耗戦だったという反省もあってか、短期間で決着がついた。それだけ競争が前倒しになったのだ。
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