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ユーザー4.5億人超、存在感増すアリペイ 日本企業も中国発モバイル決済導入へ

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幅広い金融サービスを手掛けるアント社。今年前半にも香港で上場するとの観測がある

3月にIPO(株式新規公開)を実施する、フォトメッセージングサービス「スナップチャット」運営の米スナップ。同社に続く大型IPO候補が中国にある。中国最大手のEC(電子商取引)会社、アリババグループ・ホールディングの関連会社である中国アント・フィナンシャルだ。

海外報道によれば17年前半にも香港でIPOに踏み切る予定で、すでに企業価値が750億ドルに達しているとの指摘もある。16年4月には、中国の政府系ファンドや大手国有銀行から45億ドルを調達した。「未公開企業としてはケタ違いの額。日本ではとうてい考えられない」(日本のベンチャー企業幹部)。

ローソンや無印が導入

アント社の主力サービスは、モバイル決済サービス「アリペイ(支付宝)」だ。スマートフォンにアプリをインストールして原則中国の銀行口座と連動させることで、レストランから公共料金の支払いまで、アプリ一つで完結する。「中国人にとって、電気と同じようなインフラになっている」(アリペイを含む日本向けの事業を統括するアリババの孫炯副総裁)。

今年に入ってこのアリペイを導入する日本企業が増えている(図表1)。コンビニ大手のローソンは1月24日から、国内約1万3000の全店で取り扱いを開始した。春節休暇と呼ばれる中国の大型連休前に導入したこともあり出足は好調だ。2月5日までの累計利用件数は5.2万件を超え、アリペイユーザーの平均客単価は800~900円で通常の約1.6倍になるという。

[図表1]
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良品計画は1月25日から全国の無印良品288店、上新電機は1月26日からグループ223全店で導入を始めた。ハイヤー・タクシー最大手の日本交通は1月27日から、東京23区および武蔵野市、三鷹市で運行するタクシー3500台がアリペイに対応。今後は全国のタクシー5万台への導入を目指す。

日本企業にとっての魅力は、アリペイのユーザー規模にある。17年1月時点で登録ユーザーは4.5億人を超えており、16年は年間で、中国におけるオンライン決済のおよそ半分を占めた。毎日の決済回数は2億回を数え、これはオンライン決済大手・ペイパルの10倍、クレジットカード決済大手・マスターカードとほぼ同等だ。中国人の訪日消費を取り込みたい日系企業からすると、格好のパートナーといえるだろう。

16年の訪日旅行消費は前年比7.8%増の3兆7476億円だった一方、1人当たりの支出は11.5%減の15万5896円とブレーキがかかった。消費額の3割超を占める中国人の“爆買い”は影を潜めつつある。アリペイのような新サービスを導入することが、商機拡大のカギとなる。

アント社がユニークなのは、単なる決済サービスだけでなく、ローンや保険、資産運用まで幅広く金融事業を手掛けている点にある。たとえば同社が提供するMMF(公社債を中心とした投資信託)の「ユエバオ(余額宝)」は、8000億元(約13兆円)もの運用残高がある。日本の大手地方銀行の資産規模と並ぶ水準だ。

アント社のドウグラス・フィーギン上級副総裁は、「今後は日本のような、中国国外での利用を増やしていきたい」と語る。すでにアリペイの加盟社は中国国外で10万超。世界の“アリペイ経済圏”はどこまで広がるか。

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