IIJの勝栄二郎社長に聞く 大幅下方修正は一時的、MVNOは品質で勝負
インターネットイニシアティブ(IIJ)はネット接続の草分け的存在。通信大手から回線を借り受けて格安SIMを提供するMVNO(仮想移動体サービス事業者)でも国内大手だ。
同社の2017年3月期は営業増益計画だったが、昨秋、一転して営業減益となる下方修正をした。何が起きているのか。就任4年目を迎える勝栄二郎社長に聞いた。
──17年3月期の営業利益見通しを期初の75億円から50億円へ3分の1も引き下げた。
SI(システム構築)関連の大型案件が中断になったり、障害を起こしたりした。FXの取引システムでグレードアップ(新機能の提供)が間に合わなかった。こういうことは毎年起こることではないが、あってはならない。業務委託のコントロールをきちんとやっていく必要があり、体制の見直しを行っている。
──今回の下方修正で減益見通しとなるが、課題は何か。
もちろん利益も重視しているが、IIJはトップライン(売上高)を非常に重視している。売上高が2ケタ成長をしている企業はそうない。
米国のアマゾンも最近こそ利益が出ているが、それまでは赤字が多かった。「赤字を避けたい」というのは(企業経営者として)当然だが、まずはトップラインを伸ばしていきたいと思っている。この点においてブレることはない。
──株価の推移も冴えない。
今回の下方修正は一時的なものだ。現在の営業努力の成果は1年、1年半遅れで業績に表れる。営業利益もそれにつれて増える。
足元では案件が大型化し、しかもセキュリティ関連では、今までなかったよい案件が出てきている。関連の売上高は年間100億円規模に広がり、IIJはセキュリティ大手にもなっている。
──MVNOでは楽天やLINEなど異業種からの参入組が元気だ。
MVNOの認知度が上がり、パイが大きくなるのはいいこと。IIJは品質で勝負したいと思っている。通信速度をコントロールすることで多様なサービスを提供できる。これはインターネット技術そのもので、昔から培ってきた自負がある。
──他社のMVNOでは出店攻勢が加速しそうだ。
IIJとしても、販路の多様化は心掛けている。(店頭で申し込み案内をするようになった)郵便局もその一つだ。ただ、販売店は持ちにくいと思っている。
──個人向けのMVNO事業ではNTTドコモだけでなく、KDDIの回線も借り受けるようになった。残るはソフトバンクだけだ。
KDDIは昨年9月から始めて、月数千件のペースで伸びている。ソフトバンクの経営陣とは仲良くさせてもらっているが「回線を借りたい」という話はしていない。向こうも望んでいないのではないか。
──トランプ氏が米国大統領に就任した。
あれだけの減税や公共投資などの財政出動を米国がするとなると、世界経済はよくなるだろう。ただ、経済以外の予測は難しい。
17年はドイツや韓国で選挙がある。SNSの普及で自分の意見を発信するようになるなど、(選挙結果は)読みづらくなっている。
(聞き手・本誌:山田雄一郎)






















無料会員登録はこちら
ログインはこちら