日本銀行が2015年11月から公表している「日銀版コアコアCPI」に続いて、新しい経済指標を開発した。個人消費の動向を表す「消費活動指数」だ。
従来、個人消費関連の経済統計としては、総務省の「家計調査」が代表的なものだった。ただ、かねて月々の振れ幅が大きいと指摘されてきた。
たとえば、GDP(国内総生産)の家計最終消費支出や商業動態統計調査の小売業販売額などと比べて、弱めの数値が出る傾向にあった。また、「家計調査」の対象は約9000世帯で全世帯約5200万の0.02%にすぎず、記入者の負担も指摘されていた。経済財政諮問会議や内閣府の統計委員会で「高齢者の消費動向が色濃く反映された結果が出ているのではないか」との指摘を受けている。
新指標はこれに比べて、振れが小さく、かつ包括的に消費の実勢を表すことができる特長を持っているという。
実質GDPの個人消費の動きを見ると、14年4月の消費増税前に駆け込み需要があった後、15年は前年比マイナス1.8%と落ち込んでいる。これに対し、新指標で見た個人消費は同マイナス0.7%と、同じマイナスながら落ち込み幅は小さい。図1のように、実質指数は14年以降、横ばい圏で推移している。
拡大する
消費活動指数という新しい物差しが手に入ったわけだが、問題は日本の個人消費が停滞しているのか、それとも底堅いのか、その評価だ。
日銀は4月末に公表した展望レポートの中で「一部に弱めの動きも見られるが、雇用・所得環境の着実な改善に加え、エネルギー価格下落による実質購買力の改善にも支えられて、底堅く推移している」と評価している。昨年末以降、弱めの個人消費関連指標が相次いだのには、暖冬や統計の振れなど一時的な要因が大きく影響しており、個人消費の基調的な底堅さに大きな変化はないとの判断だ。
これに対し、SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「実質賃金が上昇しているのに、消費低迷が1年以上続くのを天候要因で説明するのは苦しい。足元で進んでいる円高や株安に伴う逆資産効果も踏まえると、やはり個人消費は停滞しているとの判断が妥当ではないか」と指摘する。
15年の実質GDPの個人消費について、当初多くのエコノミストはプラス成長を見込んでいた。しかし、蓋を開けてみると前述のように1.8%のマイナスに沈んだ。それだけ昨今の消費低迷は予想外かつ深刻だといえる。新指標で見ても、医療費と携帯電話代以外は低迷を続けている(図2)。
拡大する
参議院選挙を控え、個人消費の強弱は政策判断に直結する。17年4月に予定されている10%への消費増税に踏み切るか否か。市場では「99%増税はない」(宮前氏)との見方が浸透しているが、その前提には、個人消費は「底堅い」というより「停滞している」との判断がある。






















無料会員登録はこちら
ログインはこちら