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碓井 稔 セイコーエプソン 社長 大容量モデルは市場拡大 超速プリンタを投入する

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うすい・みのる●1979年信州精器(現セイコーエプソン)入社。研究開発本部長などを経て2008年から現職。(撮影:尾形文繁)

インクジェットプリンタ大手のセイコーエプソンは、インクカートリッジの代わりに大容量インクタンクを搭載したプリンタが新興国などで大ヒットし、ここ数年、業績は拡大基調を歩んできた。

だが、2015年度は4~9月期に業績を下方修正するなど、拡大路線に陰りが見られる。競争が激化するプリンタ業界でどう成長を実現するのか。碓井稔社長に聞いた。

──ここ数年間の業績をどう評価しているか。

12年までは毎年のように円高が進み、非常に苦しかったが、その中で新型プリントヘッドや大容量インクタンクモデルなどの開発を進めてきた。そうした成果が12年後半から出てきたことが、今の高収益につながっている。

ただ、今期は外部環境でよくないところが出ている。一つは為替だ。売上高に占める新興国の比率が高くなる中、新興国通貨が下落し、大きな影響が出てしまった。

競合の問題もある。ビジネス向けプリンタにおけるエプソンのシェアが大きく上昇したことで、これまで静観していたヒューレット・パッカードなどの競合他社がプロモーション費用を積み、価格競争を仕掛けてくるようになってきた。

──業績を牽引してきた大容量インクタンクプリンタにも、キヤノンやブラザー工業が参入している。

競合の参入自体は悪い話ではない。われわれにとって最も障害になるのは、「プリンタを安く売って(消耗品の)インクやトナーで儲ける」という、既存のビジネスモデルだ。

一方で、印刷コストが安く済む大容量インクタンクプリンタに移行すれば、皆でマーケットを広げることができる。それは業界としてはいい方向だと思っている。

──とはいえ、競争は激化する。どう勝ち抜いていくのか。

基本的には先行者の優位性を生かしていく。大容量インクタンクプリンタは大量の紙を安く印刷できる。その中でも、エプソンのプリンタは「ピエゾ方式」という、独自のプリントヘッドを使っている。このヘッドは耐久性が高く、大量に印刷しても故障が起きにくい。そのため、これまでのプリンタよりもずっと戦いやすい。絶対に負けることはない。

──「ラインヘッド」という技術が期待されている。どれほど革新的な技術なのか。

通常のインクジェットプリンタはヘッドを動かして紙にインクを塗布するが、ラインヘッドは複数のヘッドを1列に配置して、そこに紙を通すことで印刷する。そのため、印刷速度は劇的に増す。

従来型のインクジェットは1分当たり大体24枚の印刷が可能で、それより速いレーザープリンタは倍の50枚程度。ラインヘッドはさらに倍の印刷を可能にするポテンシャルがある。すでに要素技術は整っており、商品化の段階にある。近く投入できると思う。

──ビジネス用途で一般的なレーザープリンタを、ラインヘッドに置き換えていくことはできるか。

印刷速度も費用対効果もレーザープリンタを上回れば、大勢としては水が低きに流れるがごとく、ラインヘッドへの移行が進むだろう。販路を含め、やらなければならないことは多いが、懸命に取り組みたい。

(聞き手・本誌:渡辺拓未)

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