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海外投資の悲喜こもごも サラリーマン投資家が語る

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ランドバンキングは値上がり益が期待できるというが…

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いざ海外投資を始めようと思っても、その商品数の多さにたじろぐ投資家もいるのではないか。自分で実際に投資すれば商品の中身はわかるが、いくつもはできない。だが、自らの身を削りさまざまな海外商品に投資する人もいる。そんな投資家の一人に話を聞いた。

彼は海外投資歴10年、現在60代のサラリーマンだ。海外投資のきっかけは2005年、転職するに当たって3000万円の退職金を得たこと。この退職金を低金利の銀行に預けるのではなく、少しでも増やしたいと思って投資の勉強を始めた。

投資を本格的に始める際、目標としたのが「年平均7%のリターン」だ。そこで海外のヘッジファンドに投資することにした。そのうちの一つが、「マネージド・フューチャーズ・ファンド」という、先物取引を積極的に利用し株式、債券、通貨、コモディティなどの相場の方向性に賭ける運用戦略を採るヘッジファンド商品だった。

インターネットで購入できる業者を見つけて、香港で海外口座を開いた。投資金額は1万米ドルからだった。ヘッジファンドは、株式などの相場が上下する中でも絶対収益を目指すとする。この商品なら年10%のリターンが期待できると思った。しかし現実は違った。購入から約10年経った今、投資元本は2割強のマイナスとなっている。

08年にリーマンショックに見舞われたこともある。だが、「いくつも投資してみた結果、ヘッジファンド商品は意外と儲からないことがわかった」という。特に利益の2割とされる成功報酬がばかにならない。「運用成績がどんどん上がるなら、そのうちの2割を払ってもいいと思っていた」というが、肝心の運用成績が振るわなかった。

投資対象は広がりランドバンキングにも

投資を開始した頃の男性は、いろいろな商品を試してみるという方針を採っていたので、ほかの人があまり手を出さない「ランドバンキング」にも積極的に投資した。

ランドバンキングとは、将来の不動産需要が見込まれる未開発の土地を買って一定期間保有し、開発許可などを得た段階で売却し利益を得る投資だ。投資回収まで4~6年かかるとされるが、利益確定がいつになるかは決まっていない。よく見られるのはカナダの土地を買うランドバンキング。投資単位が1万加ドル(約100万円)くらいからと小口なので、個人も投資しやすい。

男性は「過去の実績から、年率10%程度の利回りが見込めると勝手に想像して投資した」と話す。投資したのは06年。「話をしているこの瞬間に償還されても不思議ではない」と吉報を待つ。

いろいろと投資対象を広げ試行錯誤した結果、男性は市場全体の値動きを示す指数(インデックス)に連動したリターンを目指す「インデックス投資」に落ち着いた。

一般的な投資信託より運用コストが低いETF(上場投資信託)を中心に運用している。保有しているのは米国の大型株から小型株まで幅広く投資できる「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF」や欧州企業の株に投資できる「バンガード・FTSE・ヨーロッパETF」などだ。

余裕資金ができたら購入するスタイルで、日々の値動きはあまり気にならないという。商品を売却して換金するのは70歳になって収入がなくなったときと決めている。年金生活になってから最初に取り崩すのは、ヘッジファンドを含む海外ファンド。「自分が先に死亡したら、換金する際に家族に迷惑をかける可能性があるから」と理由を話す。

この男性が最終的に、海外ETFで国際分散しつつ長期保有するという極めて王道の投資スタイルに落ち着いたのは興味深い。そう簡単に儲けられるうまい話はないということか。

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