くたばれ!就職氷河期 就活格差を乗り越えろ 常見陽平著
このような格差があることは就活・採活業界では周知の事実だが、活字に
なって出版されることはきわめて少なかった。また採活の奇妙さについても
触れられることは少なかった。たとえば「求める人物像」がおかしい。
「自立(自律)」「成長意欲」「コミュニケーション能力」「チャレンジ
精神」「肉食系男子」「体育会の主将」「起業家タイプ」「尖った人材」など、
驚くほど似通った言葉が使われている。
著者はこれらの言葉を「画一的で、実は曖昧で、ないものねだりの求める
人材像が似非ターゲット採用を加速し、一部の人材の取り合いにつながって
いる」と切り捨て「学生もあたかも自分が求める人材であるかのように演技
する」と分析している。
本書では「就活が上手くいく学生の10の法則」や「女子学生の就活課題を
解決する4つの方法」、「地方学生が納得いく就活をするための5つの法則」
などの就活心得も語られている。いずれも説得力がある。
これらは学生向けコンテンツだが、本書の読者対象はもっと広い。採用担
当者は本書を読んで「求める人物像」の文章を再考し、エントリーシートの
内容や面接のやり方を変えるかもしれない。地方大学のキャリアセンター職
員は、学生の指導に新しい知恵を見いだすかもしれない。
新卒採用支援会社は就職ナビ運営会社以外にも多種多様な企業が存在する
が、どのような支援をする企業であっても本書の内容は興味深いだろう。
(HRプロ嘱託研究員:佃光博=東洋経済HRオンライン)
角川SSC新書 819円
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