時事通信がついに読売新聞の傘下入りか? 新卒採用凍結は業界再編の序章

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だが、そんな苦境にあってもかたくななまでに死守してきたのが、新卒定期採用だった。報道機関としての活力とネットワークを維持し、社内の士気を保つには「新陳代謝をつねに繰り返していく必要がある」(関係者)からだ。実際、09年春には56人の新卒を採用、今年春にも35人を入社させている。それなのになぜ、ここにきて凍結に踏み切るのか。

その最大の理由として中堅社員らの間で囁かれているのが、再編への布石では--との観測だ。

経営統合前に新卒採用は必要なし

事情通らによると、時事に対しては昨年後半あたりから読売新聞グループがしきりと経営統合の秋波を送ってきているという。とりわけ年明け以降は、中田正博社長ら時事経営陣と読売首脳陣が頻繁に接触を繰り返しているとされ、一部では「秒読み」観測も取りざたされるほど。

要するに「統合に伴ってどうせ余剰となる人員の整理を余儀なくされるなら、何もいまわざわざ新入社員を採る必要はないとみて採用停止を決断したのではないか」(時事中堅社員)というわけだ。

時事の前身は戦前の国策会社「同盟通信」にさかのぼる。それが戦後の45年に自主解散して電通と、一般報道部門を継承した共同通信社、そして経済報道を引き継いだ時事に3分割されたというのが誕生の経緯だ。それだけに時事の経済分野に対する取材力にはかねて定評があり、相対的に経済部の強くない読売にとって「その取材基盤やデータベースは魅力的」(業界筋)だ。

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