絶好調の「業務スーパー」がもくろむ次の一手 株価は右肩上がりで、時価総額は8500億円に

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長年の課題だった都市部への出店に向けた準備も進む。これまで業務スーパーは郊外のロードサイドに大型店舗を出店しており、店舗面積の限られる都市部には思うように出店できずにいた。現在、100坪以下の小型店舗でも利益を上げられるような什器を開発しているという。

2021年10月期の会社計画は、売上高3410億円(前期比0%増)、営業利益248億円(同4%増)と、これまでの成長ペースと照らし合わせると伸び悩む印象だ。会社側は、コロナ特需と2020年6月に事業譲渡したクックイノベンチャー事業(2020年10月期の売上高は157億円、セグメント利益は3.7億円)の剥落を盛り込んでいる。ただ、足元の勢いや出店ペースを踏まえれば、会社計画は軽く達成するだろう。

酒類や食肉などの新商品を拡充

既存店売り上げのさらなる拡大のため急ぐのが商品ラインナップの拡充だ。これまで業務スーパーでは、製造から販売までを一貫して手がけることで、価格を抑えた商品を展開してきた。輸入品や自社製造品などのPB商品の販売は、売り上げ全体の3割程度を占める。

すでに関東の一部店舗では、本部一括仕入れの酒類だけでなく、牛肉や豚肉のアウトパック商品(工場でパッケージ化したもの)の取り扱いも始めている。「豚肉や牛肉は賞味期限も長く廃棄ロスを抑えられる。アウトパック商品ならば、バックヤードや職人が必要ないので店舗の負担も少ない」(沼田社長)。

業務スーパーは消費者の節約志向を掴むことで売り上げを伸ばしてきた。今期はどこまで消費者を囲い込めるのか。新規出店と新商品の展開が大きなカギを握る。

佃 陸生 東洋経済 記者

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つくだ りくお / Rikuo Tsukuda

不動産業界担当。オフィスビル、マンションなどの住宅、商業施設、物流施設などを取材。REIT、再開発、CRE、データセンターにも関心。慶応義塾大学大学院法学研究科(政治学専攻)修了。2019年東洋経済新報社入社。過去に物流業界などを担当。

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