自動車業界は、10年の世界主要市場での販売見通しは依然厳しく、回復は緩やか《スタンダード&プアーズの業界展望》

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 一方、世界の自動車市場の回復が緩やかなものにとどまるなかでも、収益性とキャッシュフローが持続的に回復する見通しが明らかになれば、アウトルックを「安定的」に上方修正する可能性がある。

中長期的には、自動車メーカーが注力する環境対応車と低価格車への対応力が、部品メーカーの信用力を見るうえで重要なポイントの1つになるとスタンダード&プアーズは考える。日本を中心に盛り上がるハイブリッド車人気の恩恵を受けるチャンスがある一方、自動車の電子化や低価格化が進むことによる代替リスクや陳腐化リスクなどにさらされる可能性も出てこよう。

転換期を迎え業界再編が加速する可能性も

09年のGMとクライスラー2社の経営破綻を経て、自動車業界は、転換期を迎えようとしている。

まず自動車メーカーは環境規制という問題に直面している。この規制強化に対応するためには、継続的に研究開発費を投入する必要があるため、緩慢な収益回復が続くなかで、収益性の低下圧力を強める見通しである。

また、これまで国内の自動車メーカーにとって最大の収益源であった北米市場をはじめとする主要市場で小型車シフトが続いている点である。小型車シフトによる車種構成の悪化も収益性の下押し要因となるだろう。

さらに、成長が見込まれる新興国での需要を取り込むには、コスト競争力を飛躍的に強化する必要があり、部品や原材料の現地調達率を高めていく戦略を迫られている。これらの課題を1社で解決して、成長を支える収益力を高めるには限界があるため、アライアンスの活用、あるいはフォルクスワーゲンとスズキのように資本提携にまで踏み込んだ業界再編が今後さらに加速していく可能性がある。

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