投薬治療を保障、日本初「おくすり保険」の思惑 激化する「代理店チャネル」めぐる販売競争

拡大
縮小
20~40歳では保険ショップなど、代理店経由の加入が3~4割を占める(写真:住友生命)

大手生命保険会社が、自社の営業職員経由ではない「代理店チャネル」での保険販売を強化している。主戦場となっているのは保険ショップや銀行の窓口販売だ。「異なる会社の保険商品を比較検討したい」というニーズを持つ消費者は増えており、代理店で取り扱う商品は多様化している。

大手生保の販売チャネルの主力は営業職員チャネルだ。それに続く柱として、代理店チャネルの育成にいち早く動いたのが住友生命だ。同社は2009年に100%子会社「メディケア生命」を設立、医療保険「メディフィットS」「メディフィットL」などを保険ショップを通じて販売している。同時にグループ内で保険ショップ「ほけん百花」を運営し、複数の生保会社の商品を取り扱う乗合代理店事業も展開している。

メディケア生命はここ約2年半ほど、新商品を販売していなかったが、久々の新商品として5月13日に日本で初めて薬剤治療を保障する「おくすり保険(メディフィットEX)」を発売する。

がんや心疾患など9種類の疾病に対応

「おくすり保険」は入院・手術などを問わず、9疾病(がん、心疾患、脳血管疾患、動脈・静脈疾患、腎疾患、肝疾患、膵疾患、糖尿病、脂質異常症)の治療が対象で、公的医療保険制度が適用になる約1400種類の薬剤が使用された場合に給付金を受け取ることができる。

がんであればホルモン剤を含む抗がん剤、糖尿病ではインスリン、脳血管疾患・心疾患などでは抗血栓薬など、病気の発症予防や重症化予防につながる薬剤が保険の対象になっている。

従来の医療保険は入院や手術に備える保障が中心で、通院保障などは特約として付けることが多かった。ただ、「入院後の通院」が保障の条件だったり、通院日数の制限があったりして、通院で投薬治療を受けている患者は医療保険の対象から漏れていた。

同保険では、がん治療では1カ月10万円の給付金を、抗がん剤治療を続けている間は回数無制限で毎月受け取れるほか、ほかの8疾病での薬剤治療では1カ月5万円の給付金を毎月1回、最大120回受け取れる(9疾病基本プランの場合)。

次ページ「おくすり保険」投入の狙いとは
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT