トランプ大統領、米朝首脳会談「中止」を決断 激しい怒りやあわらな敵意の表現を踏まえて

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 5月24日、トランプ米大統領(左)は、来月12日にシンガポールで開催される予定だった米朝首脳会談を中止する意向を明らかにした。写真右は金正恩・朝鮮労働党委員長。それぞれ5月17日ワシントンで、4月27日板門店で撮影(2018年 ロイター/Kevin Lamarque and Korea Summit Press Pool/File Photos)

[ワシントン/ソウル 25日 ロイター] - トランプ米大統領は、来月12日にシンガポールで開催される予定だった米朝首脳会談を中止すると北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長に通告した。ホワイトハウスが24日、トランプ大統領が金氏に宛てた書簡を公表した。

トランプ大統領は書簡で「会合できることをとても楽しみにしていた」とした上で、「残念ながら、最近の言動で示された激しい怒りやあらわな敵意を踏まえ、現段階で念願の会談を開催することは適切ではないと感じた」と述べ、「会談は開催されない」と言明した。

トランプ氏は「好機を逸した」としつつも、将来金氏と会合することを望んでいるとした。

また、北朝鮮の核開発に対しては「米国の核能力は著しく大規模で強力で、決して使う必要がないことを神に祈っている」とけん制した。

この発表に先立ち、北朝鮮は米朝首脳会談の開催を再考する可能性があり、必要であれば核による対決も辞さないと警告していた。また北朝鮮はこの日、豊渓里にある核実験場の坑道や施設を爆破し、非核化に向けた前向きな姿勢を示していた。

トランプ大統領はホワイトハウスで声明を発表し、対話にはなお前向きだと表明。一方でマティス国防長官と会談したことも明かし、北朝鮮が「無謀な行動」に出ないよう警告するとともに、必要ならば米軍展開の準備ができていると述べた。

また、北朝鮮によって「われわれが不幸な状況に追いやられた場合」には、韓国と日本が多くの財政的負担を肩代わりする用意があると述べた。

首脳会談中止が戦争のリスクを増大させるかとの質問には、「成り行きを見守る」と説明。北朝鮮に核兵器を断念させるため、米国が「最大限の圧力」を継続する方針を示した。

北朝鮮の金桂冠・第1外務次官は、トランプ米大統領が米朝首脳会談の中止を表明したことについて、北朝鮮は米国と問題を解決することを常に受け入れるとの姿勢を示した。北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)が25日伝えた。

この報道によると金次官は「われわれは、トランプ大統領が歴史的な米朝首脳会談を実現させるために行った前例のない努力に対し、大いに敬意を払ってきた」と言明。「米国に対していま一度、北朝鮮はいついかなる方法での問題解決に対しても、オープンであるということを主張する」と述べた。

また、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、首脳会談中止を受けてもトランプ大統領と金委員長が直接対話を行うべきだと呼び掛けた。聯合ニュースによると、安全保障当局者との緊急会合で「朝鮮半島の非核化と恒久平和の実現は断念したり遅らせたりすることができない歴史的任務だ」と述べた。

<直接の引き金>

米ホワイトハウス当局者は同日、ペンス米副大統領の発言に対する北朝鮮外務次官の対応が米朝首脳会談中止の直接的な引き金となったことを明らかにした。

北朝鮮の崔善姫外務次官はペンス米副大統領の北朝鮮を巡る発言について愚かしいなどとの認識を示し、米朝は首脳会談を開くか、核で対決することもできるなどと述べていた。

ホワイトハウス当局者は、北朝鮮との和平に向けた希望はまだあるとしながらも、同国はレトリックを変える必要があると指摘。「北朝鮮が望む場合、(交渉に向けた)裏口はまだ開いている。ただ最低限でもレトリックの変更は必要だ」と述べた。

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