森友問題、責任所在を曖昧にする「Sontaku」 日本の官僚が行った「忖度」とは何なのか

拡大
縮小
 3月15日、安倍晋三首相(右)を脅かす政治スキャンダルの波紋が広がる中、「ソンタク(忖度)」として知られる日本の習慣が、その責任究明を複雑なものにしている。都内で2月撮影(2018年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 15日 ロイター] - 安倍晋三首相を脅かす政治スキャンダルの波紋が広がる中、「ソンタク(忖度)」として知られる日本の習慣が、その責任究明を複雑なものにしている。ソンタクとは、「暗黙の指示に従う」ことだと、大ざっぱに言い換えられる。

大阪市の学校法人「森友学園」に対する国有地売却を巡る決裁文書に財務省による文書改ざんがあったことが明るみになったことで、安倍首相と麻生太郎財務相に非難が集中している。昭恵首相夫人が同学園が設立する予定だった小学校の名誉校長を務めていた経緯もあり、隠ぺい疑惑が浮上している。

隠ぺいを指示したことはないと明言

安倍首相は自身や妻が便宜を図ったことはないと、一切の関与を否定。麻生財務相も、隠ぺいを指示したことはないと明言している。

もし官僚たちが上司の意思を推し量ろうとして、明確な指示を受けずに行動するという「ソンタク」に基づき、国有地売却に関する関連文書を改ざんしたのであれば、厳密には、安倍首相と麻生財務相の主張は正しいかもしれない。

「暗黙の期待をかけることは、責任逃れには素晴らしい方法だ」と、テンプル大学日本校アジア研究学科ディレクターのジェフリー・キングストン教授は指摘する。

「上司は『指示しなかった』と言うことができる。また、部下も『指示に従っている』と言える。責任の所在がどこにもない」

次ページ「ソンタク」とは何か
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT