トランプ1年、ロシアが味わう「幻滅感」の正体 米ロ関係はオバマ政権時代より悪化している
[モスクワ 19日 ロイター] - 1年前の土曜日、ロシアのナショナリストたちはモスクワ中心部で浮かれ騒いでいた。ドナルド・トランプ氏の第45代米大統領就任を祝うためだ。
その高揚は落胆へと変わった。ロシアに対する制裁を解除してくれると期待した新大統領が、気が進まないながらも制裁を強化する一方で、ロシア政府は否定しているが、米大統領選挙におけるロシア介入疑惑によって米ロ両国の政治関係は損なわれている。
「ヒラリー・クリントンのほうがマシだった」
ロシアでは、長年にわたり熱心な反ロシア派とみられてきたヒラリー・クリントン民主党候補が大統領に当選していた方がマシだった、という声さえ上がっている。
「クリントン政権であれば、少なくとも軍縮分野において、ある程度の接触や対話を維持することができただろう。今やそれもすべて失われてしまった」。外交政策におけるロシア政府の諮問機関アメリカ・カナダ研究所(モスクワ)のバレリー・ガルブゾフ所長はそう語る。
当選前までのトランプ氏は米ロ関係改善の願いを口にし、ロシアのプーチン大統領を称賛することで、ロシア当局者を喜ばせていた。バラク前政権の下で両国関係は冷戦終結以降で最悪の状態にあったからだ。
ロシア下院ではトランプ氏当選のニュースが拍手で迎えられ、政府が支援するテレビ局「RT」を率いるマルガリータ・シモニャン氏は、「星条旗を掲げてモスクワ市内をドライブしたい気分だ」と発言した。
だがシモニャン氏はこのところ、米当局が彼女のテレビ局を「外国の工作機関」と名指ししたことで、米国における言論の自由が損なわれている、という批判に時間を費やしている。