12月米雇用は14.8万人増、市場予想を下回る 賃金は上昇、FRBの3月利上げは確定的か
[ワシントン 5日 ロイター] - 米労働省が5日発表した2017年12月の雇用統計は、景気動向を敏感に映す非農業部門の就業者数が前月から14万8000人増加し、19万人程度の増加を見込んでいた市場予想を下回った。小売業の雇用が落ち込んだ。ただ賃金は伸びたことから、労働市場の底堅さを示唆する。米連邦準備理事会(FRB)が3月に利上げする材料となる可能性がある。
年末商戦の時期だったにもかかわらず、小売業の就業者数は2万300人減と17年3月以来の大幅な落ち込みだった。
失業率は前月から横ばいで、17年ぶりの低水準となる4.1%だった。労働人口の伸びに対応するためには月に7万5000人から10万人増える必要がある。
ネイションワイドの首席エコノミスト、デイビッド・バーソン氏は「FRBが今回の雇用統計を受け、3月に追加引き締めを見送るとは考えられない。最近発表された一連の米指標も堅調な内容となっている」と語った。
10月と11月に就業者数は大幅に伸びた。9月はハリケーンが立て続けに上陸し、テキサス州とフロリダ州のインフラや住宅を破壊したほか、一部の人たちが一時的に職を失った。10月と11月はこの反動が出た。
12月は時間当たり賃金が平均で0.3%(9セント)増加。11月は0.1%増だった。12月の前年同月比は2.5%増と、11月の2.4%増から伸びが加速した。
12月の雇用の伸びは、過去3カ月間の平均である20万4000人を下回った。労働市場が最大雇用状態に近づく中で雇用の伸びは勢いが鈍化している。12月に米議会が可決しトランプ大統領が署名した1兆5000億ドル規模の減税対策は雇用を押し上げる可能性があるものの、企業がフル稼働している状態で法人税を35%から21%に引き下げても、政策の押し上げ効果は限定的とみられるほか、景気過熱を懸念する声も上がる。
ムーディーズ・アナリティクスのシニアエコノミスト、ライアン・スウィート氏は「減税政策によってGDPは短期的に底堅く伸びるだろう。その後は財政負担が重しとなり景気後退の危険性が増す」と指摘する。
17年通年では、就業者数は210万人増加し、16年の220万人を下回った。18年は労働市場が最大雇用状態となり、企業が採用をめぐり争う中、賃金の伸びは加速するとみられる。エコノミストらは18年に賃金の伸びが年率で3.0%を超えるとみている。また、こうした中で雇用の伸びが鈍化すると予想する。
今回の統計は、過去5年間の季節調整済みの数字を改定した。失業率に変更はなかった。失業率は17年に0.7%ポイント低下した。エコノミストらは18年に失業率が3.5%まで改善するとみている。こうした状況下で賃金の伸びは加速し、物価上昇圧力が想定よりも大幅に増す可能性がある。その場合、FRBは利上げの回数を現在の見通しである3回から4回へ増やすことを余儀なくされる、とエコノミストらは指摘する。FRBは17年に3回利上げした。
12月の雇用の伸びは、11月、10月と同様、広範な部門にわたった。建設業は3万人増と2月以来の大幅な伸びだった。最近の底堅い住宅建設活動を反映した。製造業は2万5000人増だった。公益事業は2カ月連続で減少した。一般小売店は2万7300人減。中でも衣料品店は3800人減と落ち込みが著しかった。17年通年の小売業の就業者数は6万7000人減だった。16年は20万3000人増加していた。
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