iPhone販売台数、予想以上に減っていた 前年同期比で減った原因は何だったのか

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 5月2日、米アップルの第2・四半期(4月1日まで)決算は、スマートフォン(スマホ)「iPhone(アイフォーン)」の販売台数が予想外に減少した(2017年 ロイター/Mike Segar)

[2日 ロイター] - 米アップル<AAPL.O>の第2・四半期(4月1日まで)決算は、スマートフォン(スマホ)「iPhone(アイフォーン)」の販売台数が予想外に減少した。アイフォーン10周年記念モデルの投入が待たれる中、消費者が買い控えに出ている兆候がうかがわれる。

引け後の時間外取引で、アップルの株価は1.9%安の144.65ドル。

アップルはまた、資本還元プログラムを500億ドル引き上げる方針を発表。自社株買いを350億ドル拡大するほか、四半期配当を10.5%引き上げる。

第2・四半期のアイフォーン販売台数は5076万台と、前年同期の5119万台から減少。ファクトセットがまとめたアナリスト予想は5227万台だった。

アップルのマエストリ最高財務責任者(CFO)は、アイフォーンの販売台数について、消費者が購入した実売ベースではなく、小売業者に卸した台数を集計していると説明。小売りチャネルを通じて在庫数を約120万台減らした結果、実売ベースでは約5200万台を売り上げたと指摘し、アイフォーン販売は見かけほど悪くないと主張した。

アイフォーン売上高は1.2%増。平均販売価格の上昇が支えとなった。

純利益は110億3000万ドル(1株当たり2.10ドル)と、前年同期の105億2000万ドル(同1.90ドル)から増加した。1株利益はトムソン・ロイター・エスティメーツがまとめたアナリスト予想の2.02ドルを上回った。

売上高は4.6%増の529億ドル。ただ、市場予想の530億2000万ドルは下回った。

「アップルストア」、音楽配信サービス「アップルミュージック」、モバイル決済サービス「アップルペイ」、 「iCloud(アイクラウド)」などのサービス部門は17.5%増の70億4000万ドルだった。

クローバルデータ・リテールのマネジングディレクター、ニール・サンダース氏は顧客向けリポートで、製品の売り上げと異なりサービス収入が年間を通じて安定していることは心強いと指摘した。

大中華圏での売上高は14.1%減の107億3000万ドル。低価格モデルを展開する地元勢との競争に押された。マエストリCFOは、「マック」パソコン(PC)などの売上高は好調で、「中国での業績は年内、好転していく見込み」とした。

全体の粗利益率は、メモリー価格が上昇しているにもかかわらず、38.9%とアナリスト予想の平均である38.7%をわずかに上回った。ファクトセットによると、アップルは4─6月の粗利益率を37.5─38.5%と予想。アナリスト予想は38.3%となっている。

マエストリCFOは「DRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)とNAND(型フラッシュメモリー)については現在価格(上昇)圧力を受けている。1─3月期のこの状況は4─6月期も続くと予想している」とする一方で「他の部品は価格が下落している」と述べた。

アイフォーン発売10周年記念

第3・四半期(4-6月)については、売上高が435億ー455億ドルになるとの見通しを示した。市場予想は456億ドル。

ファクトセットがまとめた第3・四半期のアイフォーン販売台数のアナリスト予想は4231万台となっている。

アップルは今年、アイフォーン発売10周年を迎え、投資家は記念モデルが販売を大きく押し上げると期待している。

フォレスター・リサーチのアナリスト、ジェームズ・マクイビー氏は、スマホの需要が全般的に弱まっていることに加えて、新モデルの大幅な刷新期待が1─3月のアイフォーン販売減の背景にあると分析した。

その上で「アップルが新モデル発売前に期待値を下げるようなら、期待に応える自信がないことを意味しているかもしれない」と語った。

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