欧州リスク、市場の警戒は来年のイタリアに 5月7日のフランス大統領選決選投票は楽観視

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 4月25日、仏大統領選はまだ最終結果が判明していないにもかかわらず、投資家は早くも来年のイタリア総選挙に関心を移し、より大きなリスクを市場にもたらしかねないと警戒している。写真は、イタリア国旗とヴィットーリオ・エマヌエーレ2世記念堂。ローマで昨年3月撮影(2017年 ロイター/Stefano Rellandini)

[ロンドン 25日 ロイター] - 仏大統領選はまだ最終結果が判明していない。それにもかかわらず、投資家は早くも来年のイタリア総選挙に関心を移し、より大きなリスクを市場にもたらしかねないと警戒している。

5月7日の仏大統領選決選投票は中道系独立系のマクロン候補が勝利する見通しとなり、ユーロ圏崩壊のリスクは後退。フランスとイタリアの国債相場は一時そろって急伸した。

しかし反ユーロ感情が強く、来年前半に総選挙を控えるイタリアでは、既に仏大統領選を受けた安心ムードが影を潜めている。期間10年のイタリア国債とドイツ国債の利回り差は188ベーシスポイント(bp)と、24日に付けた7週ぶりの低水準となる180bpから拡大した。

ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの教授でLCマクロ・アドバイザーズのチーフエコノミスト、ロレンツォ・コドグノ氏は「今のところイタリアの選挙が欧州で最も危険度の高いイベントになりそうだ。同国の政治情勢が不安定で、刻一刻と変化するからだ」と話す。

その上で「金融市場が最も恐れているのは、イタリアが通貨同盟から離脱し、反既成政治勢力が実権を握るリスクだ」と説明した。

最新の世論調査によると、イタリアではユーロ圏離脱の是非を問う国民投票の実施を求める反既成政治政党「五つ星運動」が支持率で首位に立ち、リードを広げている。

他のユーロ懐疑派政党も順調に支持を集めており、経済が低調で銀行セクターが脆く、債務負担も重いイタリアは、今後はフランスに代わって市場にとって大きなリスクになるとアナリストはみている。

アヴィバ・インベスターズのユーロ圏ソブリン金利ヘッドのジョフロワ・ルノワール氏は「こうしたリスクはイタリアでは重大であり、フランスよりもその度合いが高いかもしれない。というのも、一部ではイタリア国民はフランスほど通貨ユーロを支持していないという結果が出ているためだ。今の時点で総選挙が行われれば、五つ星運動が勝利するだろう」と分析した。

マニュライフのファンドマネジャーのデービッド・ハッセー氏もイタリアについて「レンツィ氏が首相の座を追われ、大きな改革を行う準備が整っているようには見えない。率直に言って、ユーロ離脱という安易な選択肢はまだ残っており、ポピュリズム(大衆迎合主義)が消滅したとは思わない」と述べた。

ABNアムロのシニア債券ストラテジスト、キム・リウ氏は、イタリア国債は同国の政治リスクや経済の弱さ、高水準の債務に対して「特に影響を受けやすい」と述べた。

ABNアムロはイタリア国債とドイツ国債の利回り差が年末までに240bpに達し、現在の水準から50bp程度拡大するとみている。

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