現地取材で分かった「反トランプ」の異常熱気 これはよくある普通のデモじゃない

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最終的に参加者総数75万人に膨れあがったLA史上最大のデモが終焉を迎えた頃、市庁舎の近くのコーヒーショップに入ると、ラップトップを開いて、フェイスブックにアップされたデモの写真を見ている若い男性がいた。

聞くと、彼は南カリフォルニア大学の学生で、同時に米軍の軍人でもあるという。「自分のような軍人は一般市民と違って、政治デモに参加して個人の意見を表明するのを許されてないから……」と語る彼は名前も明かさなかった。

彼の姉は今日ワシントンD.C.で開催されたウィメンズマーチに参加したそうで、彼の姉が行進している写真を見せてくれた。いまや彼の大ボスである軍の最高司令官は、トランプ大統領だ。就任式の演説でもIS(イスラム国)を叩きつぶすと宣言したばかりだ。

大統領任期の4年間のうち、彼自身が戦場に送られる可能性はどのくらいあると思うか、聞いてみた。

「退役海兵隊大将のジェームズ・マティス将軍が新しい国防長官だから、戦争は可能なかぎり避けるはずだ、というのが軍の内輪の見方だね。マティスはイラク侵攻で戦場を知っている職業軍人だから、実戦となれば強いけど、そう簡単に兵士を戦場に送らないと思うよ」

ホームレスの人々が路上にあふれる光景は変わらず

デモからの帰り、市庁舎からそれほど遠くないスキッドロウと呼ばれる地域を通る。ここは全米でも最大級のホームレス住民のたまり場だ。道の脇には無数のテントがある。約1万人のホームレスの人々が路上にあふれかえる。いつ見てもすさまじい光景だ。

カートを押しながらビニール袋に入れた家財道具を運ぶ老若男女。圧倒的に黒人が多い。信号が青に変わっても、人々が、ゆっくり目の前を歩いているので、なかなか車を発進できない。

一夜明けて、大統領がオバマからトランプに変わり、大規模デモが行われても、爆発的に増え続けるLAのホームレスの人々の生活は、何一つ変わっていなかった。

長野 美穂 ジャーナリスト

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ながの みほ / Miho Nagano

米インベスターズ・ビジネス・デイリー紙記者として5年間勤務し、自動車、バイオテクノロジー、製薬業界などを担当した後に独立。ミシガン州の地元新聞社に勤務した経験もある。

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