富士電機の「自動販売機」が中国で売れる理由 日本では50年近くトップを維持する実力

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縮小

ところが、1990年代初頭をピークに国内市場は縮小の一途をたどる。そこで、富士電機は新市場を求め、2003年に中国に参入した。当初の出荷台数は3000台程度で、なかなか成長は見られなかったという。だが、2008年の北京オリンピックや2010年の上海万博を経て爆発的に普及し、2015年には3万台まで増加した。

現在、中国国内の設置台数は約20万台で、主に工場や学校などに設置されている。普及が進んだ理由はいくつかある。以前は温かい飲み物が好まれていたが、生活が豊かになるにつれ、炭酸飲料や冷たい飲み物を飲むことも浸透してきたという。さらに、飲料メーカーも増え、販売先のひとつとして自販機を導入し始めたことも大きい。

富士電機はこうした需要をがっちりとつかんだ。現在は中国でも、ペットボトルと缶の自販機でシェア7割を超えるトップメーカーに成長。さらに市場シェアを広げるべく、攻勢を強めている。

地道な投資が最高益を生む

中国の自販機市場は今後、15年から20年ほどは拡大が期待できる。しかし、一方で、力を付けてきた中国地場メーカーとの競争も激化しそうだ。そこで、富士電機は日本で培ったノウハウで差別化を進める。たとえば、より多くの缶を効率的に自販機の中に積める技術を活用する方針だ。

営業面の強化にも余念がない。2015年4月には製造と販売の会社を分け、代理店を使わずに直接営業をかけている。自販機の運営会社や飲料メーカーをターゲットに、納入数を増やす構えだ。

日立製作所の鉄道や東芝の半導体などといった他の重電メーカーと比較しても派手さはない。だが、小さな部門でも投資を怠らず、着実に収益を生み出していく。こういった地道な取り組みで今2016年度も昨年に続き、過去最高純益を更新する見込みだ。

富田 頌子 東洋経済 記者

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とみた しょうこ / Shoko Tomita

銀行を経て2014年東洋経済新報社入社。電機・家電量販店業界の担当記者や『週刊東洋経済』編集部を経験した後、「東洋経済オンライン」編集部へ。

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