まかせて大丈夫か? 民主党の政策を徹底追究《検証・民主党》

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 とはいえ年金改革は簡単ではない。制度設計が難しいうえ、これまでの保険料の納付履歴を無視できないため、新制度に完全に移るまでには移行期間として数十年が必要だ。いったん制度に手をつけると、元に戻すのも難しい。政権交代のたびに制度を変えるわけにもいかないので、他党との十分な協議が必要となる。

年金改革は、ほかの社会保障制度にも影響を及ぼす。民主党は消費税全額を新たに創設する最低保障年金の財源に投入するとしているが、その場合、高齢者医療や介護の財源をどうやって確保するのか。直嶋政調会長は「特別会計を含む総額210兆円の予算の総組み替えで十分に対応できる」と語るが、大丈夫なのだろうか。

環境や道路政策でも、問題含みだ。菅直人代表代行は4月8日の朝日新聞朝刊で「高速道路料金の無料化はあらかじめ準備すれば3カ月で実現できる」と発言している。だが、高速道路無料化は、民主党が掲げるガソリン税の暫定税率廃止とともに、CO2の排出量増大を引き起こす可能性が高い。京都議定書での削減目標達成が困難になれば、税金を投入して海外から新たに排出権を買ってこなければならなくなり、国民に予期せぬ負担増をもたらすおそれがある。

前原誠司副代表が危惧するように、JRなどの経営に打撃を与える可能性もある。

また、無料化した場合、「40兆円に上る高速道路建設の債務をどうするのか」(田中一昭拓殖大学名誉教授)という懸念もある。

年金改革(所要額5兆8000億円)や子ども手当(同5兆3000億円)のように、多額の財源を必要とする政策も少なくない。財源が確保できなければ、それらの政策を実施することはできない。

驚くべきことに、民主党内ではこうした問題についてきちんと議論されていないのだ。医療の充実など大型の公約が次々とブチ上げられる一方、財源については「予算の総組み替え」でいくらでも捻出できるかのような説明が繰り返されてきた。

世論調査では「政権交代」を支持する国民は少なくないが、多くの国民は民主党の公約の中身を熟知していない。財源となるとなおさらだ。


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