海外一流ブランドがセールを一切しない理由 日本アパレルが疲弊した「構造的な原因」とは

製造の仕組みに「大きな疑問」を感じる
山田:今の日本のファッション業界をどう見ていますか?

遣田:まず大きな疑問を感じるのが、製造の仕組みです。発展途上国で生産コストを抑えて低価格化を図り、マーケットに提供する。その結果、原産国の労働賃金は一向に上がらない。
山田:生産コストが削減されて、原産国の労働環境はより過酷になっていくわけです。
遣田:ファストファッションのすべてを否定するわけではありませんが、日本のものづくりの特徴は、本来良い素材を使って、細かな作業を要するところにあります。そこはヨーロッパの文化に近い。
ルイ・ヴィトンの商品も大量生産できないんですよ。手作業を行うクラフトマンに限りがあるから。定期的に職人を採用し、歳月をかけてトレーニングを行っています。
山田:今もそうですか?
遣田:今もそう。ルイ・ヴィトンに限らず、他のブランドでも職人としての家系が脈々と続いていて、親から職業を受け継ぐことが当たり前になっている。
山田:日本とヨーロッパでは、どこに分岐点があったのでしょう?
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