アップルは、どうして「日本」を重視するのか ティム・クックCEO「日本訪問」の舞台裏
2016年9月7日にサンフランシスコで開催された、アップルのiPhone 7発表イベントでは日本人が目立つ異例のステージが展開された。ポケモンGOのApple Watchサポートのデモでは、アプリ開発当初から中心的な存在として活躍した日本人エンジニア、野村達雄氏が登壇した。
またマリオの生みの親でもある任天堂の宮本茂氏の登場には、会場中のスタンディングオベーションが印象的だった。そして、日本でのApple Pay開始とSuicaサポート。いずれも、タイミングが偶然重なっただけかもしれないし、筆者が日本人記者として取材しているからかもしれない。しかしアップルにとって日本との密接な関わりを感じさせる十分なエピソードだった、と振り返ることができる。
ティム・クック氏が日本を訪問
Apple Payの日本上陸とSuica対応開始を前に、CEOのティム・クック氏は11月13日、日本を訪問し、新サービスであるSuica利用をメディアにアピールした。
滞在期間中は、Buzzfeed Japan、日本経済新聞の取材に応じ、また首相官邸、任天堂、アップルのサプライヤーであるカシューへの訪問、Apple Storeでの子ども向けプログラミングイベントでの交流など、精力的な活動を展開した。
クック氏は日本について、先のインタビューで「さまざまな意味で重要な国」と語った。デザインや美意識、数多くの技術が日本から生み出され、数多くのパートナーやサプライヤーも存在し、品質と創造性への評価も高い。同氏にとって、アップルにとって、日本は特別な場所であるとの認識を示した点が印象的だった。
アップルは直近2期の決算で、中国市場での大幅な減速を記録した。2016年第3四半期は、前年同期比33%減、前期比でも29%減と、急ブレーキがかかった。iPhone 7発売が含まれた2016年第4四半期も30%減。これは、前年、すなわちiPhone 6シリーズ・iPhone 6sシリーズの販売が好調過ぎたことが背景にあり、落ち込みはその反動と読み取ることができる。しかし、中国の成長の勢いが止まったことで、アップルは15年ぶりに、年間を通じた増収増益がかなわなかった。
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